オオクワガタトラッキング採集 -福島県南郷・舘岩編-

オオクワガタトラッキング採集 -福島県南郷・舘岩編-

 

 

桧枝岐村の入り口

 

西那須塩原のインターを降り、塩原温泉を通過して352号線に出るとぐっと自然が深くなり、空気がとてもよくなります。自然が豊かな山間は、1日一回は雨が降ったり、朝霧が出て、ブナミズナラ帯特有の心地よい香りと雰囲気と川の流れの音に包まれます。

体が浄化され、喜んでいるのを感じながら、露天風呂に入って大自然を眺めていると、心の黒ずんでいる所が透き通っていくようです。

この時期になると南郷地域では、名物のトマトが路地でも販売するようになります。青くてもトマト本来の味がしっかりしている南郷トマトは、小さい時に食べたおいしいトマトの味と一致し、お土産に必ず購入して帰ります。

 

 

自然は一つとして同じ顔を見せない

 

昼間気温が高くて今日はいいなと思っても、甲虫が飛ばなかったり、土砂降りで今夜は駄目だなと思って水銀灯を見てみると甲虫が飛んできて採集ができたり、日暮れ前の夕立ちで急激に温度が下がってコオロギだらけになってしまったリ、20年以上通っても一度も同じ条件になることはなく、初めての体験をする感じです。

駄目かなと思っている時に採れたり、絶好のコンディションなのに蛾もちらほらしか飛ばないというように自然は自分たちにいつ微笑んでくれるかわかりません。

自然が豊かになればなるほどこの傾向は強くなります。通えば通うほど自然を読むのは難しいと感じるようになります。

 

 

オオクワガタ採集の終了合図

 

今夜の採集は終わりだよという自然からの知らせは、何とか受け止められるようになりました。

蝙蝠が飛び始めること、雨が降り続きサンショウウオが路面に出てきた時、オオミズアオが地面に落ち始める時、冷たいやや強い風が吹き始める時、羽蟻が明かりにびっしりついて飛ばなくなっている状態の時、小さい蛾も飛ばなくなった時は、気温の低下も加わり「よく頑張りました」という終了の合図です。

 

 

硫黄の香りの温泉

 

20年前から息子とオオクワガタ採集へ行き始め、今も息子達と福島へ採集に行きます。

南郷、舘岩地域を含む桧枝岐一帯は、良質の温泉に入れる素晴らしい場所でもあります。硫黄の香り比較的強い野性味溢れる木賊(とくさ)温泉へ初めて連れていった時、「どうだ素晴らしい温泉だろ」と言うと、「硫黄の匂いが強すぎて耐えられない」と息子二人が答えました。身体を洗うために蛇口をひねると風呂の3倍の濃いお湯が出るので、もがき苦しんでいました。

自分しては、これこそ温泉と感じる硫黄の香りも、息子達や今の若いメンバーにとっては、きつくいようで、無臭でに近い温泉を好む傾向に変化してきたのかなと感じました。

 

 

まともな形でオオクワガタを採集をしない下の息子

 

下の息子は、自力で3頭のオオクワガタを採集しています。

小さい時から、オオクワガタを採集したら、小学校低学年にとつては別格の賞金を出すと言っているので、夜遅くまで頑張ります。

1頭目は、有名なポイントで、飛んで来るのを待つている時、クモの巣をジーと見ていて、オオクワガタが引っ掛かっていると言うので見てみるとオオクワガタのメスがクモの巣に絡まっていて、クモに襲われる直前の状態でした。

「これ賞金出る」と聞くので「クモがとっているからな」笑いながら、採集として承認しました。

2頭目は、夜の採集のため日中現地偵察をしている時、地域のおばさん3人と下の息子が何かを話していて、おばさんたちが持っているプラスチックケースの中をやる気超満々で何かを探しています。

近づいてみると、ケースにはおばさん達の採ったクワガタが木くずの中に入れられていて、下の息子は必死の形相でケースの中を探していました。

右手には、何かクワガタを掴んでいました。

「これオオクワガタのメスだよね」と言うので、見てみると羽に点線がありまさしくオオクワガタのメスでした。

「これも、僕が採集したことになるよね」と聞くので、後で決めようと答えました。

下の息子は、人の採集したオオクワガタを入れたケースからオオクワガタを採集したと主張します。

おばさん達は、クワガタの知識など全くないので、オオクワガタかどうかわからないため、「お父さん、この子は欲のないいい子ですね。クワガタ一匹手に持っているもの以外いらないって言うんですよ」と言います。

「ハハハハ」ありがとうございますと言いながら、お礼を言っておばさん達と別れました。

その間、「これ採集したことで賞金出るよね」と連呼する息子の手を引き足早に去りました。

3頭目は、初めてオオクワガタのオスを灯火採集をしている人の近くで拾ってきました。「オスだから、賞金2倍だよね」と息子は言いながらオオクワガタのオスを見せてくれました。

 

 
 

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天然オオクワガタを求めて-山梨県韮崎一帯オオクワガタ採集記-
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かつてのオオクワガタ有名産地、山梨県韮崎一帯で天然のオオクワガタを求めた採集記が完成しました。本書は、「1年を通じた採集記」、「採集幼虫のその後」、そして、「20年前同じ場所で体験した採集記録(加筆)」の3部で構成されています。

 

 
 

≪次のブログも参考にしてお楽しみ下さい≫

 
オオクワガタ灯下採集の変化 -マイマイガの大量発生とLED化-
 
オオクワガタから学ぶ自然を味方にする方法
 
オオクワガタデータ飼育 -檜枝岐で採集したメスの善し悪し-
 
オオクワガタ採集から学ぶトラッキング技術
 

 

 

 

【kindle本が出ました】

 

二見龍レポート#1 ネイティブ・アメリカンの狩りの技術を伝える川口拓氏との対談
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40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
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『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
 人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
 読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

 

オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界
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オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
 日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
 オオクワガタを通じ、色々な経験や学びがあり、人生が豊かになった感じがします。そんなオオクワガタ採集記をお楽しみ下さい。

 

 

 

オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~
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マット飼育は、菌糸ビンのように簡単に大型を作出するのは難しい飼育法ですが、綺麗な個体を得ることができ、安価で多量にオオクワガタを飼育できることが魅力です。
 本書により、マット飼育のコツを積み上げ、皆さんの目指すオオクワガタを作出して頂ければ幸いです。

 

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