自衛隊に入隊すると、今迄の生活とは全く異なる時間を厳守する集団生活が始まり、自衛隊の躾事項が徹底的に教え込まれます。
躾事項は、ゆったりとした雰囲気の中で身に付けていくものではなく、限られた時間の中で漏れなく確実に、かつ、スマートにやり切ることを求められます。
時間に余裕がある時には、簡単にできてしまうことでも、制限された時間内に全員が同じクオリティーを求められるため、自分の能力向上とチームメンバーとの協調、段取りが必要となるからです。
さらに、やるべきことが連続してある別々の場所で行わなければならないため、どうしても移動は駆け足をしなければならない環境になってしまいます。
この時感じることは、「あと1分あれば、余裕でクリアできるのに」、「自分一人ならできるのに」ということです。
例えば、チームのメンバーが30人いて、「アイロンとアイロン台が3つ」、「洗濯機が4台」の状態で掃除、食事、入浴、靴磨きを限られた時間内で行わなければならない時、皆さんはどうするでしょうか。
①我先にアイロンと洗濯機をリーチして済ます
②段取りや時間の割り当てを決め、平等に進める
③早くできない仲間を手伝う チームで素早く行動することを身に付けるため、 自分がよければいいというタイプは仲間として認められません。
そのため、①はNGです。6つのやるべきことを時間の割り当てを決め進めていくことが基本となるため、 ②は正解です。さらに、一人も落伍者を出さずにやり切るために、③を必ず行います。この精神は、戦闘で負傷した場合、力を合わせて仲間を助ける基礎になります。
これはほんの一例ですが、このようにして、自衛隊で躾事項を叩き込まれる日々は、生活のリズムとスピードを劇的に変化させ、集団生活、そして、集団行動を行える基礎を作り上げていきます。
自衛隊勤務に必要な人材を作り上げることは、今迄使用していたパソコンのOS(考え方、意識)を取り換えてしまうというほどの大きな変化となります。 これは、パソコンを動かすための基本となるソフトウェア(OS)を今迄の『旧OS』から『自衛官用の新しいOS』へ変えることを意味します。
基礎訓練では、反復して疲れていても、眠くても、慌てていても、決められたことをできるようにします。
武器を使用するため、安全に取り扱わなければ大変危険だからです。特に、戦闘間はいつでも敵に射撃ができるようにするということは、声をかけられて振り向いたり、突然現れた敵を射撃するために銃口を90度以上振る時、仲間に銃口を向けてしまった場合、味方を撃ってしまう危険があります。
特に、砲撃を受けていて衝撃を受けた時に引き金を引いてしまうことがあるため、全員が安全を確保して戦える銃の取り扱いができるまで徹底します。
プレジデントオンラインで公開されました。 https://president.jp/articles/-/44436 https://news.yahoo.co.jp/articles/a5f82e98be32b2d0cc044a37a6b746e3d02921d4
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