超実戦的なサバゲ―訓練で到達する領域 -CQBに限界はあるのか-

超実戦的なサバゲ―訓練で到達する領域 -CQBに限界はあるのか-

 

 

レベルの高い男達の集い

 

夏の最高気温を競う有名な場所にある二階建てのサバゲ―訓練場に到着すると、エアコンのない燃えるようなサバゲ―屋内訓練場内には、戦闘に対する本気度と強さと熱いハートの男達が早朝から既に集合しています。簡単な会話以外誰に指示を受けることなく、銃ケースから銃が取り出され、黙々とダットサイトやコンバットライトの点検の後、、銃のレールに取り付けられていきます。ボディーアーマーもキチンと付けられ、装具を装着した姿を見ただけでレベルの高さがわかります。
強い隊員の出す独特のユラッとしたオーラを集まった男達全員が持っています。
それにしても暑い。
階段を上り、2階の手前になると天井からの熱も加わりもう一段気温が上がります。戦闘用上衣が数分で背中にくっつきます。
8時間の訓練に身体が持つかなと頭をよぎる、絶好の訓練環境です。

 

 

強い対抗部隊を配置した部屋への突入訓練

 

通常の訓練では余ったメンバーや交代で対抗部隊役をやりますが、ルームエントリーのレベルを確実に向上させるため、CQBインストラクターとともに、対抗部隊専門の腕の良いメンバーがコントローラーとして参加しています。対抗部隊はロッカーや壁で複雑に入り組んだ部屋の中に入り、エントリーするメンバーの顔を確実に狙って倒します。

エントリーチームは、バリケードに身を隠しながら部屋の入口へ接近していきますが、対抗部隊の前方での待ち伏せと後退後、部屋の奥から正面からは見えない射撃位置からの対角線上にとった射線により、前進中に射撃によって削られてしまい、入口にとりつくまでにルームエントリーに必要な人員を確保することができません。

必要な人員がいないと、敵が射撃をしてくる可能性のあるポイントを一つ一つ抑え込みながら前に押し出す方法がとれず、対抗部隊へ指向する銃の数が不足するため、防御している対抗部隊に自由に動かれたり、待ち受けされるため、エントリーは極端に不利になります。

午前中前半、どうなってやられているのか、修正を如何にすればいいかと頭の中では考えなければならない量が頭が処理できる量よりも多く、身体の疲労と頭の疲労でいっぱいになっている状態です。

インストラクターは、原因や改善方法を簡単には教えてくれません。各チームが、他チームの戦闘を見学しながら、やられる原因と戦闘のポイントを学びながら修正していく方法をとっています。上手いヒントを伝えながら各チームがコツを掴んで成長しているのがわかります。

 

 

ポイントを掴むと同時に上手くいかなくなり迷いが生じる

 

前に出る時の射撃による援護や対抗部隊を自由行動させない銃口を敵に向け発見即射撃の状態を維持する形だけだったロックを改善し、射撃精度やダブルガンの組み方、メンバーのチームワークを修正していくうちに、どのチームもエントリーして対抗部隊を撃破できる技術レベルまでになりました。

みんなエントリーが上手くいくので気持ちが明るくなってきます。

インストラクターがフォース・オン・フォースの障害を攻撃側に難しく配置(射線を防御側に有利にするやり方なので大きなバリケードの移動はそんなにありません)し、対抗部隊の人数を2倍にした訓練内容へ変更した途端に、今迄の動きが姿を消してしまい、全滅に近い状態でエントリーどころではない状態になりました。

成長した自分達に自信を持ったところに、また昔のようなエントリーの失敗の連続に無言になり、下を向き始めました。

CQB訓練で成長するポイントは、対抗部隊を一番射撃が上手く戦闘に強いメンバーが実施することです。基礎トレーニングでは上手くいっていたことがレベルの高い対抗部隊にボコボコにされてしまいます。

ちょっとの個人の技術の向上やチームワークの修正程度では太刀打ちができずCQBの限界を感じてしまうような体験をします。

基礎訓練の積み上げを個人ごとに行うことの大切さをまず知ります。

少なくとも耳たぶを狙って撃ち抜ける程度の射撃精度を身につけることが屋内で身体をほとんど出さないで射撃するレベルの敵に必要だからです。2名でダブルガンの組み方を障害に合わせて動けるようにしたり、ロックで敵の動きを抑え込み、敵の位置の情報共有をしながら、友軍相撃を防止しながら行動するための詰めをする必要があります。これを繰り返しながら、力を付けていきます。

同レベルや自分や自分達のチームより強いチームと訓練していると、上手くいかない事ばかりで自信を失っていくことがあります。

しかし、実態は、お互いにかなりの速度で成長している状態です。ほんの少しのミスを突かれて崩されるような僅差の詰めの厳しい実戦的で本気度の高い訓練を続けているからです。

「さあーいきましょう」とインストラクターの声が飛びます。

 

 

吸い込まれそうになる強い吸収力と向上を望む心と姿勢

 

エントリー終了後、前に出る時の他チームによる射撃援護の要領や敵の場所を進出線やバリケードに番号を付けてメンバーに伝える方法の確認、ダブルガンの組み方を修正したりして次のエントリーに臨みます。次のエントリーまでの短いインターバルの間のミーティングは、35度を超える体力を急激に消耗する環境下でも、必要な話と情報を一つも逃さないように各人の目、特に黒目が勢いよく周りの状態や話を吸いこんでいます。

この状態は、吸収力と定着度が凄く高まっている状態であり、成長している時です。

インストラクターが、メンバーの成長を実感し、嬉しくなるとともに、感性が高まり、適確かつ、チームを奮い立たせる素晴らしいアドバイスを連発するので訓練全体が更にしまっていきます。

今回のインストラクターの進め方は、抜群だなと感じます。上手くいくようになると高くなった鼻をへし折り、チームのメンバー達が原因や現状打破の方法を話し合いながら、多くの気づきを体験させ、問題を解決して前に進める方法を伝えています。

更に、改善して何とか対抗部隊を倒せそうな手ごたえを突入グループが持つと、対抗部隊の射撃の位置取りや戦闘要領のレベルを上げたり、障害物の位置を微妙に動かして射線の位置を変えながら、もう一つ上に引っ張り上げようとしています。

インストラクターが嬉しそうに言います。

「基礎編が終了です。4年かかりました。皆さんは遂に強くなれる壁を突き破りました。次の訓練まで、個人のスキルは自分でしっかり磨いておいて下さい。これからです」

背中から流れた汗が膝の裏まで濡らすほどの状態で、チームメンバーの目がキラッと光りました。

 
 

 

 

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二見龍レポート#1 ネイティブ・アメリカンの狩りの技術を伝える川口拓氏との対談
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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

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40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
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『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
 人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
 読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

 

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オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
 日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
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マット飼育は、菌糸ビンのように簡単に大型を作出するのは難しい飼育法ですが、綺麗な個体を得ることができ、安価で多量にオオクワガタを飼育できることが魅力です。
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