自衛官、陸曹が退官後も成長を続け、躍動感溢れる活躍ができる方法

自衛官、陸曹が退官後も成長を続け、躍動感溢れる活躍ができる方法

 

 

定年退官が近くなった連隊長時代の副官

 

自衛隊の定年は、民間企業や官庁・役所よりも5年早く訪れます。50歳の半ばのまだまだパワーのある年齢での退官です。退官後、民間企業で「生き生きして仕事をするタイプ」と「生活の糧を得るため仕方がなく通っているタイプ」に区分されます。本人の生き様を見れば、どちらへ進むか明確にわかります。

小倉で連隊長をしていた時の副官が、今年定年退官します。

副官は、背はあまり高くなく、第一印象は温厚明朗なタイプでフットワークがいい感じで柔らかいタイプだなと感じました。

数日接してすぐにわかりました。

副官は、「情熱に溢れ、常に正義と本物を貫き、仲間を信じ、必ず仲間を連れて帰る」超火の玉小僧であることです。

そんな副官と、訓練視察や部隊訪問、演習場を彼と一緒に歩きながら、訓練や隊員の育成について語り合うのが日々の楽しみになりました。

「超火の玉小僧」は、行動力抜群で、何に対しても正義を貫き通すので、彼を不愉快に思う意識レベルが低いタイプもいます。

しかし、それを遥かに上回る熱い思いを持った多くの仲間が常に応援をしてくれるタイプです。

そんな副官は、副官業務以上に力を入れ、連隊長の考えを連隊中の熱い心を持ったメンバーに分かり易い言葉と表現で伝え続け、40連隊を強い部隊に向かう太いベクトルを作ってくれました。

退官記念パーティーの招待状を見て、そんな超火の玉小僧の副官も時期が来たんだなと感じました。

退官のことを考えると思い出すのが、小隊長時代によく聞いた「イチコロ」という言葉です。

 

 

「イチコロ」、「ハンコロ」

 

小隊長時代、今から30年以上前に勤務していた45普通科連隊(現在は廃止されありません)では、定年前の陸曹が集まると必ず会話に出てくる言葉がありました。

「A1曹もイチコロだったよなー」、「そうそう1年前に退官したB曹長もこの間だ」、「やはりイチコロか、気をつけんとイカンな」

「イチコロ」という言葉です。

イチコロとは、退官後1年以内に亡くなってしまうことです。

当時、日本の社会では自衛隊に対する目は厳しい状況でした。関西地区は特に厳しい状況であり、そこを生き抜いてきた陸曹は、退官後一種の虚脱状態になり生涯を閉じてしまうことが多かったからです。

退官前、「イチコロにならないように気を付けろ」と言われるほどでした。

退官前の陸曹の会話を紹介しましたが、その中の車両陸曹をしていた陸曹は、退官後半年も経たずに亡くなってしまいました。

半年以内に亡くなるのを「ハンコロ」と当時呼ばれていました。

現在は、昔に比べ健康で生活できる年齢が向上し、年金も65歳からの支給になり、自衛官は、退官後10年近く働く必要が出てきました。

退官後の人生の重要なものとして、仕事が位置付けられるようになりました。退官後の10年は決して短いものではなく、どのように過ごしたかで人生の充実度を左右する重要な時期となりました。

 

 

退官後活躍するタイプとは

 

現役間の人生・仕事への姿勢を見れば、退官後、活躍するタイプはわかります。

退官したからといって、人間性や今迄の経験、業務遂行能力が変わるものではありません。今迄の人生・仕事への姿勢がそのまま「タイプ区分」の結果に直結します。

現役自衛官の日々如何に過ごしてきたか、「人間を磨く努力を続けてきたのか」、「常にチャレンジを忘れていないか」、この努力の積み重ねが退官後の仕事につながっています。

自衛隊は、命令指示で動く組織ですが、組織が動きやすいように、「自主裁量の余地」を与えて現場が動きやすい環境を作ります。

任務達成のため、現場が自由に行動し、保有している能力と強さを十分に発揮しできることが重要だからです。

しかし、本質を理解せず、「指示がないから」、「言われていないから」という受け身の姿勢で過ごしてきたタイプには、創造力や新しいことをする革新的な行動はできません。
能力も限定的で、視野も狭く、自分中心的な視点が多くなります。

このようなタイプが、日々の変化や厳しい環境で生き抜いている企業で役に立つとは考えられません。

現役時代に積み上げられてきた基盤の延長線上にあるのが、退官後の仕事だからです。

本ブログの人材育成、意識改革の中で、「人生・仕事への姿勢」を多く取り上げる理由の一つでもあります。

 

 

連隊長時代より更にパワーアップしている副官

 

退官記念パーティーへ行くことを伝えると、SLCを出て1尉になった副官は、退官パーティーのことよりも、今の連隊の状況や隊員の成長している状況、これからどのように進めたらいいか、次に就職するところの社長とのやり取りや、自分がどのように貢献するかについて熱く語ります。

いつの間にか、超火の玉小僧は、人間性を向上し「超火の玉人間」になっています。

副官の熱い心を聞いていると連隊長時代の副官を思い出します。

副官は、連隊の中核である陸曹と連携し、連隊を影でまとめながら強さを追及していくベクトルを作り、日々満足することなく上を目指そうと私に熱く話してくれました。

 

40連隊隊員全員が日々充実しながら強さを追及していく環境を一緒に作っていった副官と退官パーティーで会えるのが楽しみです。

 

副官、まだこれからだよ。君の活躍は

 

 

 

 

 

自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編: 敵に察知されない、実戦に限りなく特化した見えない戦士の育成
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40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
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『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

 

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オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
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