指揮官に何故、副官と伝令や運転手が付くのか

指揮官に何故、副官と伝令や運転手が付くのか

 

 

運転手つきの車に乗る上司への憧れ

 

自衛隊に入ったばかりの時、連隊長や師団長が黒塗りの車に乗っていることや秘書役の副官と身の回りの世話をする伝令がいることを知りました。食事を運んできてもらったり、10人以上で使用するテントを一人で使用したり、職場ではとても広い部屋にいて、連隊長はいいな~と感じるとともに、自分も早くなりたいと思いました。

伝令が靴をピカピカに磨き上げ、ピシッとプレスの利いた制服を準備したり、煩わしいような生活面をテキパキとこなし、ドライバーは、連隊長が車から降りる時さっと降りてドアを開けます。副官は秘書として、本日の行動はというように指揮官を支えます。

連隊長は偉いんだなーと感じます。

 

 

身の回りの世話をしてくれる副官と伝令

 

早く連隊長のようになりたいと思ったりしながら自衛隊生活を積み上げていき、若い時に見ていた視点とは違う「部隊をどのように動かすのか」、「隊員をひきつける人間性はどうか」、「部隊を如何に強くしているか」という視点で連隊長を見れるようになると、副官や伝令がなぜこのような行動をしたり、連隊長に付くのか、自分なりに解釈ができるようになりました。

そして、自分が連隊長になり、副官やドライバー、伝令が付いてくれた時、彼らに自分の考えを伝えました。

連隊長は、約1000名の部下を持つ指揮官です。連隊が任務を達成し、損害を極限に抑えて行動できるかどうかは、連隊長の指揮、能力にかかっています。1000名が連隊長を支えているという見方もありますが、円錐を逆にしたように連隊長が1000人を一人で支えている面が強いといえます。

細々した身の回りの事を副官、ドライバー、伝令にやってもらうことにより、色々な煩わしい事が無くなります。彼らの働きにより、連隊長として使える時間や考える時間が増加し、ゆったり静かな環境で勤務できる場と時間が設定されます。

この場と時間を設定してもらいやらなければならないことは、1000名の隊員の戦闘技術を高め、いかなる任務にも果敢に挑戦し、生き残って任務を達成して帰れる能力を保持すること、連隊の隊員が毎日明るく充実した仕事ができる環境を作ること、冷静で正しい判断を常に行うこと等々、限りなくやるべきことがあります。

このやるべきことに命を燃やして下さいというのが、副官、ドライバー、伝令の存在意義と彼らが頑張って尽くしてくれる意味です。

身の回りの世話をしてくれる職務は、多くの困難な重いものを背負うことでもあります。

 

 

葛藤の毎日

 

連隊長はいいなと憧れを持っていましたが、なってみると毎日隊員との真剣勝負と自分の心との葛藤が続きます。強い隊員を作るには厳しい訓練が必要です。トップが少しでも気力が低下すれば、部隊も気力が低下します。

厳しい事を続けていると隊員たちの苦しみを色々なところから情報として知ります。少し緩めるのか、まだまだ全然甘くてできていないのに緩めてしまうのか、でも隊員はもう「ね」を上げ始めている、少し休ませるかと葛藤します。

皆が赤信号を渡っているのだから、自分も渡ってはいけないけれども皆がやっているからいいだろうと「赤信号皆で渡れば怖くない」という甘い誘いが心から聞こえてきます。

もうこんなにやっても効果があまりないし、隊員も飽きているんだから止めてしまえば楽じゃないか、もっと楽しい事をして笑いが絶えないようにした方がいいのではないかと葛藤します。

生き残って任務を達成して帰ってこれる隊員を作るにはどうすればいいのか、なあなあにしていいのかと葛藤します。

 

 

連隊長になってよかった

 

連隊長に上番している間、毎日自分の限界に近い状態や今迄の経験をフル回転して仕事をしながら、毎日葛藤を続けているので結構しんどい状態であるというのが現実です。

多くの人が、連隊長をやってよかったと言います。それは、連隊長としての多くの権限行使し、多くの責任を果たしながら、毎日自分の能力を限界までフル回転して全力でやれる職務だからです。

この時、隊員の素晴らしさと部下を持つことの怖さを真に理解できます。連隊長を下番した時、これほど充実した時期はないということを理解し、素晴らしい勤務だったと多くの人が感じるのだと思います。

私は、連隊長としての充実した勤務と何年経っても、一緒に行動した仲間としての関係が続いている多くの隊員と出会えたことが人生の宝物となっています。そして、隊員に成長させてもらったなと強く感じています。

 

 

 

 

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二見龍レポート#2 コンバットメディックの照井資規、弾道と弾丸を語る
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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめり込む姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
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『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
です。

40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
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『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ若い隊員が成長していく姿には、若い人達や人材育成に関する多くのヒントがあると思います。

人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。

読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

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