小倉駐屯地広報室レポート2『当時の40連隊-戦闘団訓練検閲編』

小倉駐屯地広報室レポート2『当時の40連隊-戦闘団訓練検閲編』

 

 

「死闘 五夜六日」

 
 
 「死闘 5夜6日」このタイトルを見て皆さんはどんな場面を想像しただろうか。

 旅行に出かけ、どこかで泊まるのなら5泊6日というのが普通だが、自衛隊は24時間勤務が原則なので敢えて5夜6日という言い方をする。自衛官ならこのタイトルから真っ先に想像するのは、訓練・演習であろう。

 そこで今回は、戦闘団訓練検閲のことを書いてみようと思う。検閲とは、連隊にとって連隊長以下、各級指揮官の指揮能力や隊員の細かな動きに至るまで、訓練の練度が試される最も重要なイベントである。当時の記事を見るとA3の紙面の約3分の2を占め、写真5枚とともに次のような記事が書かれていた。

 連隊は平成15年9月24日から26日の指揮所演習に引き続き、10月6日から11日の間大分県日出生台演習場において、第40戦闘団訓練検閲を受閲した。6日、検閲に先立ち、戦闘団長二見1佐は、「あらゆる手段を尽くして敵を潰せ」、「戦闘団として助け合い力を倍増させよ」。合わせて「組織力の発揮と、検閲の終始を通じ、徹底してやる」。

 ことを要望し訓示とした。

 

 

戦闘団訓練検閲の幕の切り落とし

 

 江藤師団長からは「検閲は真剣勝負、血を流さない実戦である。」との訓示を頂き、併せて第4音楽隊による素晴らしい演奏が検閲に花を添え、検閲に臨む隊員たちの士気は最高度に達した。

 ほどなく二見戦闘団長より命令が下達され、情報小隊が徒歩行進を開始、遂に検閲の幕が切って落とされた。戦闘団主力は、情報小隊出発から1時間後、集結地を出発、約40キロの徒歩行進に引き続き、100キロあまりの車両行進を踏破し、翌7日早朝、それぞれの防御陣地地域に到着した。

 陣地地域は敵の潜伏、化学武器(有毒ガスや化学剤)の汚染が予測されるため、はじめに安全化が行われた。隊員らは化学防護衣に身を包み、除染用の機材を背負って、懸命に陣地地域の除染や敵の撃滅掃討など安全化を図った。

 安全化を終えた隊員らは、それぞれの持ち場において、防御準備を開始、不眠不休で鉄条網、地雷原、掩体、障害等の構成を行い、10日午前、防御準備を概成した。

 

 

徹底とはどういうことを言うのか

 

 特筆すべきは、この防御準備がすごかった。師団はもとより、方面からも防御資材を借用し、陣地の周囲には鉄条網を張り巡らせ、主要な道路には、ドラム缶に土を詰めてバリケードを築き、訓練の練度を判定する補助官さえも侵入を拒む。

 また、斥候が接近しそうな経路は敢えて歩きやすいようにしてトラップを仕掛けるなど、まさに組織力を生かし、あらゆる手段を駆使して本当に戦える陣地を作り上げた。

 併せて今回の戦闘ではターゲティングという連隊で考案した独自の戦法が用いられた。これは、戦闘団と多目的誘導弾を装備する第4対舟艇対戦車隊が密接に連携して、早期に敵の戦車、装甲車などの動きを掴み、撃破するというものである。

 このため、戦闘団は演習場の全域に十数組の斥候を配置、刻々と変化する敵の状況を戦闘団監視所に逐次報告、これを受けて誘導弾部隊が次々に敵の戦車、装甲車などを撃破して行った。

 

 

戦車85両撃破

 

 戦闘団は防御戦闘における「待ち受けの利」を実践し、二見戦闘団長が要望した「組織力」を見事に発揮、終始徹底してやり抜き、11日早朝の最終戦等においては、敵戦車3個大隊(戦車85両)を壊滅、3個機械化大隊の半分を撃破して、午前8時25分5夜6日にわたる訓練検閲を終了した。

 私の記憶が確かなら、この検閲では、偽の連隊指揮所を構築し、師団長以下師団の幕僚をも欺いた記憶がある。おそらく前代未聞ではないだろうか・・・・・

 彼(二見氏)は部下と組織の強さを信じて疑わない。今思い出しても本当に痛快な気分になるエピソードである。
 
  

 

 

 

【次のブログも参考にお楽しみ下さい】

 
Kindle本『新隊員諸官!!武器をとれ』3月31日発刊
 
CQBの性能の高い隊員や可能性を感じる隊員を伸ばす方法 -波紋を作り拡大して組織を動かす-
 
改革を進めている時に問題点・歪みが新たに出てきた改革は順調に進んでいる
 

 

 

 

 

二見龍レポート#11 世界標準の訓練をささえるOTS
二見龍レポート#11 世界標準の訓練をささえるOTS

 

 

 

 

自衛隊最強の部隊へ-FTC対抗部隊編: 無敗の最強部隊を殲滅せよ! – 2020/9/23
自衛隊最強の部隊へ-FTC対抗部隊編: 無敗の最強部隊を殲滅せよ! –

 

 

 

 

自衛隊は市街戦を戦えるか (新潮新書)
自衛隊は市街戦を戦えるか (新潮新書)

 

 

 

 

関連記事紹介

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です