巨大オオクワガタデータ飼育 -マット飼育で78ミリのオスを出す-

巨大オオクワガタデータ飼育 -マット飼育で78ミリのオスを出す-

 

 

データから読み解けるもの

 

オオクワガタのマット飼育は、菌糸ビンが出てくるまで多くの愛好家が行っていた飼育法です。マットは、品質の維持や作成の難しさがありますが、菌糸に比して安価のため、多量に飼育するのに適しています。
菌糸ビンの質の向上とリーズナブルな価格に落ち着いていくと、近年オオクワガタをマットで飼育をする人は減少していきますが、
多くの愛好家が行っていたマット飼育には、色々な魅力と何とも言えない楽しみがあります。

朽ち木を粉砕したマットに栄養価を上げるために加える各種添加剤の調合は各自で工夫ができます。

そして、秘伝のマットにより飼育したオオクワガタの羽化時の成虫の大きさや形を楽しむことができるところが格別です。

自分で考えながら作成したマットにより、大型で美形のオオクワガタの成虫をり上げた時の達成感はたまりません。そこがマット飼育の魅力ではないかと思います。

その魅力にひかれていつの間にか、マットによる累代飼育を始めて25年が経ってしまいました。

累代飼育で大事なことは、オスとメスを産卵木の入ったケースへ一緒に入れるペアリングの時期、産卵の時期と回数、産卵木からの幼虫の割り出しの時期、餌換えの時期、そして、マットの状態などの記録をすることによって大型のオオクワガタを出すタイミングとコツが積み上がっていきます。

データをとることにより、それぞれ飼育する場所の室温、湿度の状況により、ネットや本で紹介されていることをそのまま適用するのではなく、家の飼育場所の環境に合わせて工夫して飼育をしていくといい結果が得られることがわかります。

種親の重要性は、言うまでもなく、餌換えの時期とマットの栄養バランス、室内温度は累代飼育へ大きな影響を与えます。

今回、マットによる78㎜のオスを作出する時に役立てたデータ分析から得られたコツやテクニックについて紹介します。

 

 

質のいいマットがいいのか

 

物凄く栄養価が高いマットを作ろうとして、どうしても栄養価の高いものを多種・多量に添加剤として使用してしまいます。

出来上がったマットはその時点では非常にいい状態ですが、栄養価が高かったり、微粒子のマットは加水分解しやすく、マットが早めに黒くなって急激に栄養価がなくなり、早いタイミングで餌換えをしなくてはならず、餌換えによる縮みのほうが影響を与えて大きくなりません。

少なくとも、3週間は餌換えで失った体重を戻すのに必要なので、頻繁に餌換えをすると幼虫は大きくなれないからです。

マットは、1.5カ月~2カ月もつ状態程度に添加剤を入れたり、マットの細かさとのバランスをとることが大切です。

マットは、朽ち木粉砕のものであれば、コナラとクヌギとの混合で目が荒くても問題ありません。添加剤は、酵母類を入れると加水分解が早くなるので、フスマを中心に混ぜます。

マットの質は、作成してからの2~3日の間は毎日かき混ぜると維持しやすい環境になります。

 

 

餌換えのタイミング

 

 

餌換えのタイミングは、非常に重要となります。終令幼虫の餌換えの時期を8月、10月、12月の3回行えるように、ペアリングの時期、産卵の時期、初令幼虫の割り出しを設定します。

ゴールデンウィーク終了後、ペアリングをさせて、初令幼虫の割り出しを7月初旬にできるようにして、後は2カ月を基準に終令幼虫の餌換えをする。

この方法を基本として、各家の室温や湿度の特徴にあわせて、10日前後早くするか遅くするか調整して下さい。
産卵の時期により幼虫の成長には幅ができますが、多くの幼虫が生まれて育つている主力が出る時に大型も出やすいので、主力の時期の幼虫を中心に餌換えの時期を設定します。

幼虫は素手で触らないようにすると、手に付いている雑菌によって幼虫が餌換えにより死亡することを減少できます。

人間の手は多くの雑菌が付着していることや空気中にはカビの菌が多く飛んでいることがオオクワガタ飼育をしているとわかります。

ある意味人間は色々な雑菌に対して耐性を持っていることを教えられます。

 

 

温度管理

 

首都圏では温度管理をしなくてもよいマンションが飼育に適しています。

マット飼育なのでエアコンを使用する必要はなく、冬でもマンションの場合、南向きの部屋なら、暖房をかけなくても天井付近の室温が21℃に確保できるため申し分ありません。
北向きの部屋では、簡単な温度管理が必要になります。

寒い地域では、温度管理をきちんとすることが重要です。天井付近の温度が21℃あれば、床から60㎝以上の高さにビンを置けば、幼虫が成長を続けることができる積算温度が確保できると考えられます。

温度管理をせず、天井付近の室温を21℃に確保できる南向きの部屋で飼育した幼虫から毎回大型が出ます。

 

 
 

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天然オオクワガタを求めて-山梨県韮崎一帯オオクワガタ採集記-
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かつてのオオクワガタ有名産地、山梨県韮崎一帯で天然のオオクワガタを求めた採集記が完成しました。本書は、「1年を通じた採集記」、「採集幼虫のその後」、そして、「20年前同じ場所で体験した採集記録(加筆)」の3部で構成されています。

 

 
 

≪次のブログも参考にしてお楽しみ下さい≫

 

 
クワガタ、カブトムシ採集・飼育を親子で楽しむ -産卵場所と飼育用マットの違い-
 
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【kindle本が出ました】

 

二見龍レポート#1 ネイティブ・アメリカンの狩りの技術を伝える川口拓氏との対談
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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

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に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
 人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
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オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界
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オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
 日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
 オオクワガタを通じ、色々な経験や学びがあり、人生が豊かになった感じがします。そんなオオクワガタ採集記をお楽しみ下さい。

 

 

 

オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~
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マット飼育は、菌糸ビンのように簡単に大型を作出するのは難しい飼育法ですが、綺麗な個体を得ることができ、安価で多量にオオクワガタを飼育できることが魅力です。
 本書により、マット飼育のコツを積み上げ、皆さんの目指すオオクワガタを作出して頂ければ幸いです。

 

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5 Comments

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