運動能力の向上は、20代半ばからなくなって、徐々に現状維持の方向へ進み始め、残念ながら30代半ばから完全に運動能力の低下を実感できるようになります。そして、50代になると1年毎に運動能力の低下を感じるようになります。どうしても、運動能力の低下イコール全ての身体に関するものが低下していくと捉えてしまい努力をやめてしまいがちです。
しかし、身体全体では、60歳まで多くのことを受け入れ、60歳をピークに低下していくことを知れば、身体をいつまでも動くようにするモチベーションと毎日身体を動かす努力を積み重ねることができます。
股割も90度も足が開かず後ろに倒れてしまうと、年齢でこんなものかと諦めてしまいがちですが、毎日、テレビを見ながら開く時間を増やしていったりしているうちに、後ろにコロンというようにはならず、腰骨が立ってくるようになります。まだ柔らかくなれるのだという喜びを味わうようになります。
貴乃花は、四股の踏み方だけで「シコアサイズ 貴流運動法」一冊の本を出しています。四股だけで一冊の本が書けるという事は、四股は相撲にとって怪我をせずに身体を維持向上させていく重要な役割を果たし、奥の深いものだからだと思います。
四股を踏むことにより、下半身が鍛えられ、股関節の柔軟性を高め、身体のバランスが崩れているところを矯正することができます。両つま先を外側に開いて姿勢をとるだけでも、最初はぐらついて上手くいきません。正しい四股を踏もうとすると、まず足が上がらないのとバランスを保つことができずにグラグラして上手くできません。股割と合わせて四股を踏む練習をしていると足が少しずつ上がるようになるのと、バランスが取れるようになります。
四股と股割を続けていくと、腰を構成している5つの骨がくっ付いていて腰が固まって動いていない感覚がわかるようになり、少しずつ腰骨どうしの隙間を作って動くようにする動かし方を感覚的に掴めるようになり、腰の可動域が広がっていきます。次の日股割をすると元の状態に戻っていますが、続けていくうちにまた少しずつ広がっていきます。このパターンを繰り返しているうちに足もほんのちょっとずつ開いていきます。
テレビを見ながら、少しきついですが、30分程度開いていると効果的です。腰の骨が動くようになると背中と肩甲骨と連動もするようになり、走ったり、物を持ったり、色々な動作をする時に上手く身体全体を使って動かしている感覚がわかるようになります。この感覚は、若い時、昔はこんな状態だったんだという感覚と同じで、忘れていた感覚をよみがえらせてくれます。
四股は、右足を軸にしてする時と反対の左足でする時とでは、当初感覚が違ったり、右足を軸にするとふらついて捕まっていないとできないというように、同じ状態ではなく、上に上げている左足が身体の後ろの方向に少し入り気味であったりする身体ののねじれ具合や上半身が前に倒れていたりしているような身体のゆがみと左右のバランスの状態を確認することができます。
バランスをとりねじれを修正することができるので、背中が痛いとか、腰が痛いというような歪みからくる痛みが少なくなります。いつまでも動く体を維持しようという気持ちを忘れず、若い時の感覚に戻った時の喜びを目指して、毎日継続していくことにより、錆がきにくい身体になっていくと思います。
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