兆候を確実につかみ取ることができる情報活動 -情報処理-

兆候を確実につかみ取ることができる情報活動 -情報処理-

 

 

情報の特性を理解する

 

「情報を集めろ」、「どんな情報か確認せよ」と情報の収集を指示されることがあります。では、どのような情報を集めればいいか考えたことはあるでしょうか。目的や行動を成し遂げ、成功させるために収集する情報は、いつまでに何をどのような手段で、どの程度のレベルの情報を収集するか決めることが重要です。

情報は、時間の経過に伴い価値が低下し、ある時点を過ぎると素晴らしく精度の高い情報でもゴミになってしまいます。
情報を使用する人が必要としている時に、情報を提供しなければ、意味がなくなるからです。
これを情報の「適時性」といいます。

 

 

情報処理は詰将棋

 

情報は、正確性を追求し、精度の高い情報を集めても、使う人がいらなければ情報の価値は無くなります。
半面、適時性を追及すると情報の正確性が低下する可能性が高くなります。
ここで重要になるのが、情報の処理です。収集した情報の正確性を判断し、クロスワードパズルの一つ一つのピースを集め、それぞれのピースの位置づけを明らかにして、組み合わせながら、クロスワードパズルを組み立てる。
この作業が情報の処理です。

情報の処理をするためには、何通りも行動要領を詳細に分析します。詳細に予想した各行動の、何処の何を見つければ一つの行動に絞り込むことができるか、「兆候分析」を行います。
そして、行動を確定できる情報を収集するための情報収集器材や要員を配置します。

 

 

戦闘に勝利するための情報

 

ミリタリーの分野を例として説明します。
防御は、敵よりも戦力が劣っている場合に採用する行動です。
しかし、防御は少ない戦力で優勢な敵を阻止しなければなりません。
トータルの戦力で攻撃側の戦力よりも防御側は劣っている状況での防御側の勝ち目は、限定した場面で防御側の戦力を有利にして攻撃側の戦力を減殺して戦うところにあります。

広い正面で防御をしている場合、防御側の戦力を各径路に均等に配置した場合、防御側の戦力は、更に分散してしまい攻撃側が有利になってしまいます。
例えば、防御側に接近できる三本の接近経路がある時、敵はどの経路を使用して主力が移動してくるかを明らかにできれば、かなり戦闘が有利になります。
A・B・Cの3経路のうちAを使用することがわかれば、防御側は、戦力を3等分にせず、A経路に集中することができます。
トータルでは敵部隊が優勢でも、敵部隊が十分に展開できない場所で、防御部隊が十分展開し、陣地で防護しながら戦うことができれば、その場所では防御側の戦力が敵よりも優勢となり、敵を撃破することができます。
敵が戦車2両しか展開できない場所で、防御側が陣地で防護した戦車が4両配置できれば、防御側が勝利することができます。

 

 

有利な防御側の戦闘を行う情報活動

 

敵の使用する経路が、A経路と解明できても、防御側の戦力をA経路に集中する時間を確保できなければ対応ができません。情報の解明が遅く、A経路と分かっても意味がないことがわかります。

情報は、防御側がA経路へ集中するために必要な時間を十分確保できる時期に解明する必要があります。
対応の時間を確保するため、かなり早い時期に敵の使用する経路を確定するために、各径路を使用する時の敵の行動パターンを敵の指揮官になって具体化します。

何日前の夜頃、オートバイの偵察部隊がどこまで来て、オートバイを降りて徒歩で偵察するか、地雷などの障害を偵察する施設部隊の偵察要員がいつどこへ入れるか、主力を援護するため前方で警戒する部隊をどの程度の戦力でいつ前進させるか、攻撃を支援する補給部隊の展開地域をどこに設定するか、敵の指揮官になり切り、敵の行動パターンを作り上げます。

こうして作り上げた敵の行動パターンをもとに、防御部隊が戦力を転用して戦闘する時間を確保できる時期に経路の判定ができるように偵察部隊を埋め込みます。

 

 

確定情報と同等の価値を有する否定情報

 

A経路を使用して接近する敵の行動を確定する情報を収集することは、とても重要であることを説明しましたが、B経路、C経路沿いに情報を収集するため配置している情報部隊からの情報も非常に重要となります。

B経路、C経路沿いに敵が経路を使用する兆候が現れなければ、敵は、A経路を使用すると判定できるからです。
B経路、C経路での敵の行動「なし」という否定情報も、敵の行動を解明する重要な情報となります。

敵の行動パターンを詳細まで詰め切ると、ある場所における敵の配置がなければ、「否定情報」一つで敵の行動を確定できる場合もあります。

情報収集のため、偵察部隊の他、航空偵察、無人偵察機、レーダー等のセンサーを組み合わせて情報収集網を構築します。
情報活動の適否で、戦闘の勝敗が決まる可能性が高く、情報活動に強い陸上自衛隊を作り上げることが重要となります。

 

 

 

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