自衛官の再就職をスムーズに行うポイント – 階級章という自己を守るための鎧を外す –

自衛官の再就職をスムーズに行うポイント – 階級章という自己を守るための鎧を外す –

 

 

社会一般の感覚に欠ける自衛官

 

定年退官した夫を持つ奥様が指摘する夫の問題点は、「一般社会とは違う世界(自衛隊)で生きてきた認識がない」、「捨てきれていない階級章」の二点に集約されます。50歳半ばで定年になる自衛官は、一般社会に出て働くために必要な研修を受けます。長年生きてきた自衛隊で身に付いた二点の改善は、中々手強く改善できません。

何故、一般社会と異なる自衛隊で生きていたことを認識しにくいのでしょうか。

自衛隊は、日本全国に駐屯地と演習場が所在し、この中を行き来する形で仕事を行います。
一般社会との接点は極めて少ないといえます。

更に、駐屯地や基地の中には、食堂、広いお風呂、コンビニがあり、勤務中、駐屯地の外に出る必要もありません。

自己完結性の極めて強い組織であるため、いつの間にか、自衛隊社会イコール一般社会になっているからです。

 

 

一般社会とは違う自衛隊で生きてきたことを認識できているか

 

奥様達は、「自衛隊という大きな組織の中で生きているので、自衛隊社会が一般社会そのものであると捉えてしまっている」

「一般社会に出て変だと感じることがあっても、一般社会が変わっているだけで、自分の感覚が正しいと勘違いしている」
「自分が正しいと感じているため、なかなか始末が悪い」と分析します。

更に、奥様達は、「若い時から自衛隊社会に隔離されて年を重ねてきた」と説明します。

一般の大学を出た人は、大学生の時から一般社会と接しています。

防衛大学出身者は、多感な時期の四年間ほぼ四六時中、横須賀にある防衛大学校校内で生活しています。一般の隊員は、高校卒業後、純粋な状態で自衛隊へ入隊し、多くの隊員が陸曹や幹部になり、退官するまで自衛隊社会で活動するからです。

 

 

一般社会の感覚がない

 

「一般社会の感覚がないのでは」という奥様もいます。
自衛官と全く接触のない人が、自衛官に対して持っているイメージと、会った時に感じるイメージにギャップを感じるのは、一般社会との感覚のズレがあるからです。

まず、異なる自衛隊社会に長く接していた自分を認識し、一般社会の実態とスピードを感じ取ることが必要です。一番よくみているアドバイザーは、奥様です。

奥様のアドバイスは、非常に耳の痛い事ばかりになるかもしれませんが、一度耳を傾けて下さい。

退官を機会に、自衛隊生活を支えて頂いた奥様の言葉を噛み締め、理解し行動を改善することにより、感覚のズレが改善されます。

 

 

階級章は捨てるのではなく大切なお守りに

 

自衛隊社会の特徴は、階級があり、命令を出し、命令に従うところです。

自衛隊在職中から勘違いしている認識があります。

部下が、敬礼や頭を下げるのは、階級章に頭を下げているのであって、その人が人物的に素晴らしいからしているわけではないという認識です。
敬礼や頭を下げられているうちに、自分が素晴らしい人物であり尊敬されている勘違いが発生します。

定年退官後の職場で、頭を下げられたり、挨拶をされていると自分は素晴らしい経歴の持ち主で実力があるという現役時代の勘違いが、退職後も継続します。

奥様達の中には、「現役中から、部下へ指示するような口調で私に指示するのを我慢していたが、退官後はもう階級も何もないので、これを機に直してほしい」と要望する人がいます。

階級は、退職後捨てる感覚を持つと、禁煙をしようとタバコとライターを捨てても、すぐに我慢できずまたタバコに手を出してしまうように、どうしても昔の肩書と階級が表に出てきて消えません。

階級は捨てるのではなく、心の中に大切にお守りとしてしまっておく感覚が良いと思います。

 

 

階級があまり上がらなかった人ほど階級章にこだわる

 

新しい職場に勤務している今現在、仕事振りや人柄を認められているかどうかが重要となります。
一般社会の中に裸一貫で飛び込んだ状態をイメージし、周りの人や職場に認められる努力を新人になったつもりで行動して下さい。

自衛隊時代の階級というプライドは胸の奥に大切にしまい込み、新しい職場では、過去は関係ないと認識した時から、新しい道が開けます。

特に、階級が上がった人よりも、そんなに階級が上がらなかった人の方が、自分は偉いという勘違いが続いたり、いつまでも階級にこだわり、鬱屈した劣等感を階級で守ろうとする傾向があるので注意して下さい。

階級という幻の鎧を脱ぎ捨て、生身の自分をもう一度磨き成長させる意思と行動が必要となります。

このため、自衛隊退官後を「第二の人生」というのだと思います。

 

 

表面上ではなく本質を理解し、意識と行動を変える

 

奥様達の指摘は続きます。

「自衛隊退官前に受けた業務管理研修でいくら教育を受けていても、表面的な理解では知っているだけです」
「正しく認識し、実践できなければ、知っているだけで何も変わらない」と話を締めました。

奥様が女性自衛官の場合、多くの共感点があるかもしれません。
奥様も同じ社会の住人です。

 

 

 

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