組織の環境は、その組織のトップの能力・マネジメント能力・人柄・信頼性が混じり合って作り上げられます。このため、組織の90%以上の責任は、組織のリーダーにあると言われています。リーダーが自分を守ることに注力しなければならない環境では、部下は安心して仕事に打ち込み、業務に関する進言を行うことはできません。上司以上に部下は、自分を守るために日々過ごさなければならないからです。これでは、上司も部下も心理的安全性が確保されておらず、信頼感がなく連携もせず自分を守ろうとするので、組織としての力を発揮することはできません。
『心理的安全性の確保』ができていない状態では、上司、例えば部長は、自分の部の状態が苦しく上手くいっていない台所事情を隠して、表面的に上手くいっているように取り繕おうとします。
悪い噂を立てられたり、評価が下がるのを恐れるからです。当然守りの業務になり、他と連携するとボロがわかってしまうのでしません。
そして、できていないのにできているように見せるため、弱みを握られないように守ること・上手く見せることに注力してしまいます。
このような状況だと、「あそこの部は上手く取り繕っていますが、バラバラで仲が悪くて最悪と言われています」、「あなたの部の悪口をいう人がいます」と色々なところに噂を流したり、伝えてみんなを疑心暗鬼にさせる「言いつけ魔」が発生します。
「言いつけ魔」は、ある部長へ情報(噂)を伝えると、情報をもらった部長は「言いつけ魔」へ「良く教えてくれた。知らなければ危ないところだった。ありがとう」と「言いつけ魔」を評価してしまいます。疑心暗鬼にさせている張本人の「言いつけ魔」は、多くの人から重宝され、大事にされるのです。
これでは、部長も、部下も安心して仕事をできません。『心理的安全性の確保』が全くされていない状態だからです。
このままでは、組織は衰退しながら、守りばかりでやがて磨り潰れていくのを待つ状態です。
では、このような『心理的安全性の確保』ができていない状態から、どのようにして脱出すればいいのでしょうか
台所事情を部長同士が公開し合い、全部長が現在どのような状態なのか明らかにしてしまえば、隠し合いや化かし合いをして、守る必要はなくなります。
今まで表に出なかった現状を把握できた時点が、信頼醸成が進み、連携・協力する一歩となります。
このようにして、まず部長の『心理的安全性の確保』を行い、次に部下の『心理的安全性の確保』ができる環境を作り上げます。そうすると、全体で業務しやすい環境ができ上がっていきます。
部長グループが認識を統一し協力し合えば、課長グループはすぐに変わります。課長グループの『心理的安全性の確保』ができているからです。
先程の「言いつけ魔」のように、改革を進めている段階では、これでもかという組織に対する挑戦が故意的、さらに自然発生的に発生します。元に戻そうとする引力として、改革を骨抜きにしようとします。
組織に対する挑戦に負けたり、後退すれば、改革は失敗です。元に戻そうとする引力は、改革を進めるたびに、歪、問題点、不具合、として表面化してきます。
せっかく出てきた歪などを隠すことなく、一つずつ解決する絶好の機会として改革・改善を進めることによって、次第に『心理的安全性の確保』、信頼感、協力・連携する力が付き、目指している方向へ進み改革が成功します。
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