休憩を適度に入れた方が効果的な訓練ができるのか

休憩を適度に入れた方が効果的な訓練ができるのか

 

 

首をひねるインストラクター

 

自衛隊の訓練では当たり前のことなのに、外国で訓練を経験した人や部外の人に会うと言われる言葉があります。「自衛隊の人は50分やったら、10分間休憩を入れないといけないんですね」、「どうして休むのですか」です。

「どうしたら強くなれるのか」を合言葉に各地の強いといわれる部隊へ研修に行ったり、色々な経験をしている人や格闘の専門家の人から戦闘技術を吸収している時、何か引っかかる言葉です。

休憩を入れるように言われているのですかと聞いてみると「訓練担当の人から、1時間に1回休憩を入れるのが自衛隊の訓練ですと言われました」と返ってきました。

「普通、どのようにしているのですか」と聞くと、「アメリカでは、休憩はしませんし、なんで1時間に1回も休まないといけないのですか?」と返ってきました。

 

 

常識と思っていたことが非常識

 

「休憩を適度に入れることにより、訓練に集中できて効果が高まるからです」と答えると、「休まないと集中できないのでは戦闘に耐えられないですよ。

入りたての新兵サンの訓練ではいいと思いますが。こんなに休んで何になるのでしょうか。集中力や体力、気力も練成できないですよ。

反復演練を続けても正確に続けられる戦闘技術と精神を身につけることが重要です」と話してくれました。

ガンと頭を打たれたショックと強くなれる方法を見つけた喜びを感じました。

では、休憩は無しでも構いませんので普通にやって下さいとお願いすると、驚いた顔をして、このように言われたのは自衛隊で初めてだと言われました。

自分達では当たり前であったことが、世界では当たり前ではなかったことを知った瞬間です。

こんなところにも強くなるポイントがあるんだということを理解しました。

 

 

訓練に休憩はない

 

訓練は、朝から始まり、昼食まで休憩はしません。

午後も同じです。

戦闘間に休憩というものはないからです。トイレに行きたい者は勝手に行き、また訓練に戻ります。長い時間集中が続けられる精神力と休まずに継続できる体力もつきます。

隊員から「休憩した方が集中できるので効果的である。休憩を入れてほしい」との要望があると中隊長が言うので、「休まなくても集中して訓練できる部隊と休まないと集中できない部隊ではどちらが強いのか」と聞くと、「休まなくてもいい部隊です」と答えるので、「どうすれば強くなれるのかリーダーはいつも考えて、隊員をよく説得し、自らやる環境を作るように」と話しました。

 

 

どちらが強いのか

 

判断の座標軸を「何をすれば強くなれるのか。どっちの方が強いのか」とし、迷ったり、きつくなったりしたら、この判断基準で物事を理解し判断するようにしました。

このように隊員の純粋な疑問にも丁寧に答え、なんでやらなければいけないかの理解を得れるように進めました。

3か月もすると必要性が理解され、休憩というもの自体がなくなりました。効果として、集中力が高まり、我慢強くなるとともに、怪我が大幅に少なくなりました。

 

 

高い価値観

 

そして、徐々に強い部隊特有の後ろ姿からゆらゆらとオーラが出るような感じが出てきました。

インストラクターが嬉しそうに「技術も大事ですが、人生や戦う姿勢がキチンとなることによって、高い価値観が養われ、高い吸収力と定着度が身に付き成長していきます」と話してくれました。

「高い価値観」このところよく出会う言葉でした。

最初のころは心に引っかからなかった言葉でしたが、この時、強くなるために必要な重要キーワードであることを理解しました。

インストラクターは、「futamiryuの成長がそのまま部隊が強くなる成長につながります」と話してくれました。

「誰が強いのか、何をすれば強くなるのか」40連隊の皆が追及する日々が続きます。

 
≪次のブログも参考にしてお楽しみ下さい≫
 
勝負を決める「いつ休ませるか」
 
フルスペクトラムに対応できる戦闘能力
 
どのような部隊が強い部隊なのか
 
目標とすべき小部隊-futamiryu小倉へ行く-
 

 

 

 

 

自衛隊最強の部隊へ-偵察・潜入・サバイバル編: 敵に察知されない、実戦に限りなく特化した見えない戦士の育成
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【kindle本が出ました】

 

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40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
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本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめりこんでいく姿を記録したものです。

そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。

 

 

 

40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準
40連隊に戦闘技術の負けはない: どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準

 

 

『40連隊に戦闘技術の負けはない―どうすれば強くなれるのか!永田市郎と求めた世界標準―』
に登場する隊員たちが訓練を通じ成長していく姿は、若い人達に限らず、人材育成全般にも多くのヒントがあると思います。
人生・仕事への姿勢について、ミリタリーの人に限らず、多くの人達に読んで頂ければと思います。
読み方は自由に、肩肘張らず、気楽に読んでいただき、志を持ったインストラクターと若い隊員たちの記録を堪能して頂ければ幸いです。

 

 

 

オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界
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オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
オオクワガタを通じ、色々な経験や学びがあり、人生が豊かになった感じがします。そんなオオクワガタ採集記をお楽しみ下さい。

 

 

 

オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~
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マット飼育は、菌糸ビンのように簡単に大型を作出するのは難しい飼育法ですが、綺麗な個体を得ることができ、安価で多量にオオクワガタを飼育できることが魅力です。
本書により、マット飼育のコツを積み上げ、皆さんの目指すオオクワガタを作出して頂ければ幸いです。

 

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8 Comments

  1. irie

    こんにちは。いつもブログを拝見させていただいています。そして、このブログが私のモチベーションの一つになっています。

    まさか、私がブログに掲載させていただけるとは思いませんでした。

    只今、日本から約12000キロほど離れています。

    私は日本の将来、自衛隊の未来にどのように力添えが出来るかを常に考えていて、頭から離れる事は有りません。それと、40連隊の事を一時も忘れてた事は有りません。

    私は、能力やセンス等が有りません。自分自身の出来る情熱と努力で行動してきたし現在も行動しています。あとは運・・・でしょか??

    それには、futamiryu、上司、仲間達(doi達)及び、多数のインストラクター関係の皆様のお陰です。現在も助けて頂いていて、ありがとうございますという感謝の言葉以上の言葉が見つかりません。futamiryuにあの場で御指導いただけ無ければ今の私は有りませんでした。本当にありがとうございます。

    最近少しづつ感じている事は、部隊や個人を育てるには技術や形は二の次で、先ずは人間性を育て高めないと、と感じています。人間性とは、仲間や他人の為に何(カバー等、日常生活ではゴミ拾い等)が出来るかと自然に考え行動することだと感じています。そうしなければ、実任務や、今後起こりうる実戦で色々なカバーが出来なければ闘えません。さらに、一番大切な所は「「心」」なので、ここから逃げず真正面からぶつかって、心と心のドツキアイをすることです。そして、どうするかを考えない人にどうなるかは見えないと各人に気づかせたいです。
    自衛官に限らずですが、小さなプライドや驕りが訓練練度向上心を妨げます。それと、価値観を否定せず共有することが大切です。色々な良い意味で己を変える又は変わる事は進歩成長することだと確信しています。

    私が40連隊第一中隊にいた頃は、修行が足らず未熟者だった為、言葉にすることは出来ませんでしたが、今は少し行動に移し言葉に出来るようになりました。futamiryuが築いた軌跡を、より多くの自衛官や他公務員に伝えていく事が、私の責務の一つです。

    irie.

    1. futamiryu

      Irie様

      また、一段と成長しましたね。
      帰ってきたら、冷たいビールで祝杯をあげましょう。一杯話を聞かせて下さい。

      futamiryu
                       

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