昨年末、以前SAT(ストライク・アンド・タクティカル)マガジンで紹介されたこともある部隊の訓練に触れる機会がありました。
前日の夕方、仕事終わりのメンバーと合流して現地へ向かい、現地のホテルに夜中に到着、明日の出発時間を確認してその日は移動で終了。
当日は、晴れのち昼から天候が崩れるとの予報の通り、午前中の終わりから雪が舞う天気になりました。
しかし、寒さと雪は、高い志を持つ男たちの発するエネルギーにより跳ね飛ばされる熱気がありました。
それもそのはず、射場指揮官、射撃係、安全係、射場係が連隊本部、ほとんどが連隊のエンジンである3科のメンバーで構成されているからです。
射場指揮官の指揮下に入り、各隊員は、自主的にやるべきことを連携しながら進めていきます。
真剣な雰囲気の中、柔らかな空気とチャレンジ精神を感じるオーラのような雰囲気が射場を満たしています。
自衛官は、射撃により難聴になる隊員がいます。
特に、普通科隊員は射撃する弾数が多いため、多くの隊員が難聴になるか、40代後半から高音が聞き取れなくなります。
米軍や、射撃を行うもので一番重視する耳栓とグラス(目を防護するための強化レンズを装着したメガネ)がほとんど躾になっておらず、関心が薄いということです。
射撃は鉄帽というように頭の防護はするのですが、耳栓とグラスの統制はありません。
耳栓は、あるレベルのものであれば、射撃時の衝撃波を緩和し、隊員同士の会話や指示を聞き取ることができます。
射撃時、隊員がつけているのは、射撃時の衝撃波を緩和しますが、会話は聞き取ることが難しい状態になってしまいます。このような耳栓は、数百円で購入できます。
1回の飲み会分のお金で、衝撃波を緩和し、会話や足音を通常よりも聞こえるようにする耳栓も入手できます。
さらに、サプレッサーを銃に装着することによって、射撃をしながら会話ができるレベルに射撃音を軽減することができます。
ウクライナでの戦闘映像を見ていると、サプレッサー付きの銃を使用している兵士が多い国に気づきます。
さあ、射撃開始です。
6枚の円状の標的を順番に倒していき、フォーリンプレートは命中すると後ろへ倒れます。
命中しているのか、一目瞭然です。古手の陸曹が射撃のうんちくや経験によるコツをいくら語っても、結果は目の前でわかるため、何がいいのかが瞬時に周りの者が把握できます。
そして、客観的な評価ができます。
射撃の速度の評価が、できる標的として、画像で人が立っている状態の形をした小型の標的があります。
この標的は、どちらが早く射撃をできたかどうかが、判別できる標的でもあります。
通常の射撃にも章できますが、後ろに倒れることを応用すると次のようなこともできます。
2人ペアで射撃の精度とタイムを競う場合、この敵を少しハの形で配置すれば、早く射撃して命中した方が重なった標的の状態調べるとすぐにわかります。
早く命中した敵が下になっているからです。
回転的を使用すると、命中すると標的が回転して相手の方へ移動します。
6枚の標的を相手の方へ早く移動させた方が勝ちです。
一つの標的に命中させるだけではなく、自分の方へ回転して移動してきた標的に照準して素早く撃たなければなりません。
アトランダムに標的が出てくる状態の射撃訓練にもなります。早い弾出しと精度が要求されます。
この射撃に強い隊員は、確実に射撃レベルが高い状態です。このような射撃訓練は今後必要になると考えます。
陸上自衛隊の射撃に与えられる時間は長すぎます。短時間で照準撃発でき命中させるという観点で、同じ射撃の要領であるが、隊務を短くすることによって、精度と時間で評価することが必要だからです。
現在の最低射撃に要する時間は3.5秒以上かかるという考え方が基本になっているからです。
射撃の時間と精度両方を研ぎ澄ます訓練評価の視点が、陸上自衛隊ではほとんどありません。
銃を構えていた方向で敵を見つけて照準・撃発するのに3.5秒を要するという考えに基づいているからです。
そのため、陣地攻撃で突撃訓練を行う時、分隊が交互に組(3名程度)前進をする場合、射撃支援をしながら交互に前進します。
この時の前進する時間は3.5秒で統制されます。
これは、ボルトアクション式の旧軍の銃の性能によるものではないかと思います。
次の弾出しがボルトアクションのために時間を要するため1発必中を目指していたからであるからでしょう。
現在は弾倉を使用するセミオートの銃を使用して次弾をすぐに発射できます。
2000メートル以内へ指向できる火力が旧軍と時代とは比較にならないほど、多種大量に揃えられ、ドローによる正確な観測射撃と直接攻撃によって、最も危険な場所を人の機動力によって制圧していく戦い方自体も損害が大量に発生させることになります。
戦い方、陣地攻撃要領、突撃の見直し・廃止を早急に行う必要があります。
鉄の標的は、通常の小銃弾薬では跳弾が発生する弾薬の作りになっているからです。
この弾薬によって、防弾ベストの防護力の弱い鋼板であれば、貫徹できる構造になっているからです。
これでは、至近距離の鉄の標的の射撃ができないため、フランジブル弾(亜鉛・ナイロン・錫などを固めた弾薬、命中すると細かい粒子に崩壊する:離れた人への被害を防止する)を使用します。近年、陸上自衛隊にも、配分されるようになったと聞きます。この弾薬を生かすための射撃用資材と射撃検定規則の策定が必要となります。
防衛力整備、教育訓練を担当する幹部の方は、早急に進めて頂きたい事項です。
准曹が頑張り腕を上げ、強い部隊を作ること間違いなしです。お願い致します。
今回、触れさせていただいた3科のメンバーは、一人一人が相当のレベルであり、本物を追求するメンバーでした。
この男達を使いこなしている幹部、特に、3科長は素晴らしいと感じました。
今後大いに活躍する部隊ができ上っていくでしょう。
今後の益々の発展を祈念致します。