2022年が始まりました。私たちの置かれている環境の変化は、加速を続けています。
例えば、2019年に新型コロナウィルスが発生し、テレワークが急激に始まり、マスクをすることが義務に近い状況になることを予測できた人はいたでしょうか。
今から3年後、どのような環境の変化があるか、言い表すことはとても難しいといえます。
ビジネス環境の変化も同じように加速しています。
今までの状態を続けるだけでは、生き残ることが難しい状況になってきました。
現在のトレンドの延長線上に存在する将来の予測に基づいた中期計画を作成するという方式では環境の変化の速度が速すぎたり、変化の振れ幅が大きすぎ、この方式を適用することが難しくなってきています。
環境の変化が穏やかだった時代において、50代以上の社員は、吸収し成長する努力をせずに怠っていても、過去から積み上げてきた経験値と人のネットワーク(いわゆる昔取った杵柄)によって、8割がた業務を続けることができました。
変化自体がゆっくり流れているため、今まで培ったほとんどのノウハウをそのまま使える状態でした。
そのため、今までの業務パターンや要領を変えなくても対応できてしまうので、成長の必要性を意識することなく、成長することなく過ごしていても、あと定年まで10年間の業務、再雇用の業務もこなすことができました。
大きな組織ほど、このような傾向は強く、社員は企業の求める方向に対応したので、社員だけのせいではないといえます。
令和に入り環境の変化は、さらに加速しあらかじめ環境の変化を予測して、コントロールしようとしたとしても、予想を超えた状況が発生、変化は国内だけではなく世界に拡大されるようになり、あらかじめ予測してコントロールすることが難しくなってきたのです。
環境の変化が、組織、社員へ与えた影響は、若い世代とベテラン世代とに厄介な溝を発生させたのです。従来の意識や捉え方のままでは、溝はさらに広く深くなっていくということです。
40前半より若いメンバーは、変化を受け入れ適応していくことが当たり前、通常の状態で過ごしてきた世代のため、今後も環境の変化を受け入れ、柔軟に適応していくことが予想できます。(成長を継続していきます)
一方、50代以上の世代の全てではありませんが、示された業務を行い会社の発展に貢献し、評価されることが「成功体験」であると長年過ごしてきた人たちです。
現在の環境に適応している人たちもいますが、多くは現在の延長線上に将来を捉える見方をするため、現在のような大きな変化を受け入れ、対応するということは一般的に苦手です。
50代以上の社員は、諸先輩が、若い時に身に付けた能力(昔取った杵柄)によって、若干維持している状態なので多少劣化していても、8割がた対応できるため、定年前からゆったり過ごしていてもなんとかなる状態を見てきました。
しかし、迅速、ダイナミックな変化が続く現在において、諸先輩のようにはいかなくなってしまったのです。
変化を受け入れ適応することが中心となると、昔取った杵柄は使えて2割以下へ低下して、それだけでは対応できなくなったからです。
今までの2割以下しか会社へ寄与できなくなった人たちがそのままの状態では、会社の経営は成り立たなくなり恐れが出てきました。
若い世代は、成長を続けて前へ進んでいますが、50代以上の世代は、成長が停止し、急激に能力の低下が進んでいる状況となり、世代間には深い溝(キャズム)ができ上がっていきます。
このキャズムは、社員と古手の課長、部長、役員の間にできたキャズムのため、若い世代が発想した内容を承認したり具現化する時に大きな「捉え方の差」として現れ、障害となります。
一方、変化への適応が不十分な上司から従来と変わらない指示を受ける若い世代は、自分たちの感覚とのキャズムを感じています。
変化へ適応し成長を続けている若い世代は、50代以上の世代とのキャズムがさらに深く拡大しているように認識するようになります。
50代以上の世代が、迅速な変化が続く環境を認識し、受け入れ適応しようとしなければ、キャズムは拡大の一歩を遂げるでしょう。
長い人であれば、30年積み上げてきた考え方や業務要領を手放し、新しい方向へ舵を切ることは、この年になり経験したことのない世界に飛び込む不安やこれから新たな勉強をしなければならないことを考えると、その世界へ飛び込むモチベーションは、なかなか上がらないはずです。
できれば、昔取った杵柄の通用する世界でいたいという気持が強いはずです。
このような傾向がある会社は、キャズムによって完全に世代が分離した状態で固定化する前に、改革、改善策を打つ必要があります。
例えば、50代でも謙虚に懐を深くして新たなことへチャレンジをして、自己能力の向上を実現するための評価制度、昇格・降格制度、昇給などの「人事制度」の新設、トップによる意識改革の継続、組織編成の見直し、人材育成の見直しを進めて行くことが挙げられます。
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