こんな上級陸曹がいたらいいと連隊長が思う隊員とは

こんな上級陸曹がいたらいいと連隊長が思う隊員とは

 連隊は、約800~1,000名の隊員で構成されています。諸外国では、歩兵と呼ばれている歩兵連隊を陸上自衛隊では普通科連隊といいます。

 私は、普通科連隊長を経験させて頂きました。普通科連隊には、6個の中隊があります。そのうち、本部管理中隊は、偵察、通信、衛生、補給整備小隊があり、連隊全体を支援します。

 もう一つ連隊全体を火力で支援する中隊として、重迫撃砲中隊があります。

 残りの中隊は、ナンバー中隊といって、最前線で戦闘を行う中隊で1中隊、2中隊、3中隊、4中隊の4つの中隊があり、ナンバーで表されるため、ナンバー中隊というように呼ばれています。

 中隊には、4個小隊があり、1個小隊は30名程度で編成されています。

 小隊には、幹部として小隊長がいて、小隊全体をまとめる下士官が小隊陸曹として上級曹長が配置されます。

 部隊の充足にもよりますが、小隊に7~8名の分隊が3個あり、その分隊長も上級陸曹がついている部隊があります。

 上級陸曹は、初級陸曹、中級陸曹を経て階級も1曹、曹長であり、下士官グループの上位に位置します。

 上級陸曹は、小部隊のリーダー、新隊員から背中で部隊を引っ張っていくエンジンである中級陸曹までを取りまとめ役、幹部と下士官との架け橋などの役割があります。

 長い間、戦闘を経験していない組織が、健全な状態で良き伝統を継承しつつ、新たな環境に適応をしていくということは、なかなか難しいところがあります。

 上級陸曹は、部隊にとって非常に重要な地位と役割を有することがわかります。

 私が普通科連隊長の時に頼りになる上級陸曹と感じた隊員は、「上りではなく、さらに成長しようとする意志と行動をすること」「小部隊を強くすること」「任務をやり切ること」「状況を俯瞰して行動ができること」の項目が一つでもできること、さらには複数の項目ができる上級陸曹です。

 「上りではなく、さらに成長しようとする意志と行動をすること」は、全体に共通するところです。

 上級陸曹に昇任したので、もう十分ではないか、今までの経験を生かしてやっていけばいいのではないかと考えてしまった時点で、成長が停止してしまうと劣化が始まるからです。

 上級陸曹の能力以上に彼らの部下は能力向上が難しいからです。

 上級陸曹の能力向上が小部隊の能力の向上、しいては、部隊全体の能力向上につながります。

 反対に上級陸曹の能力低下が部隊の低下に直接つながります。

 身体が若い時のように動かないことを実感すると自分の限界が訪れたと体力面だけで判断しがちですが、総合判断力、リーダーシップなど伸びる余白がかなりあるからです。

 まず、この部分を確認しました。

 「小部隊を強くすること」は、自分の進めたい方向へ上級陸曹が率先して意識改革を行いその流れを作ること、中級陸曹が活躍できる場を自ら、幹部と話を進め作り上げること、小部隊のチームリーダーとしての力を持っていること、小隊長がやられた場合の指揮官になれること、指揮階梯をつなげるチームを育成できることが具体的な内容になります。

 「任務をやり切ること」の具体的な内容は、任せることができ、結果は予想以上の内容に仕上げてくれること、小部隊のリーダーでやらなければならないことを必ずやり切ることです。

 「状況を俯瞰して行動ができること」では、中隊への寄与、連隊への寄与を考えて行動すること、小隊長の頭で行動できることが挙げられます。

 ブレイクコンタクトの教育・訓練によって実戦に強い部隊を育成できること、スカウト、CQB、射撃、斥候、火力要求などが実施でき、教育できること、良き伝統の伝承できることなど、具体例は、挙げればきりがありませんが、鍵括弧の内容が骨になります。

 

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