専守防衛の日本に適している「民間防衛」を根付かせる北朝鮮の弾道弾ミサイル

専守防衛の日本に適している「民間防衛」を根付かせる北朝鮮の弾道弾ミサイル

 

 

「民間防衛」扉が開かれる

 

北朝鮮の弾道弾ミサイルの着弾時の対応が国から示されました。市町村は、安全を確保するための避難訓練の実施や住民からの質問や問い合わせを行うことになり、太平洋戦争以降、長く封印されていた、「民間防衛」の扉が遂に開かれました。

民間防衛の扉が開かれた日本は、憲法改正論議が国会でも取り上げられるようになり、安全保障に関する意識が徐々に高まっています。

しかし、まだ、有事になった場合、自衛隊任せの状態で、官民が協力して対処しようとする認識まで進んでいません。

専守防衛を行う日本では、敵の領土に所在している基地を叩いたり、領海外に所在する敵への攻撃は、大きく制約されています。
海・空自衛隊が自由に戦闘できない状態ならば、戦いの場は日本の領土となります。

領土内での戦闘は、国土防衛戦となります。国土防衛戦は、「民間防衛」が必要不可欠となります。

 

 

国土防衛戦の強み

 

国土防衛戦は、領海、領空、領土内での戦闘が主体になります。海空自衛隊が機能不全になった場合、陸上自衛隊による日本の国土での戦闘になります。

弾道弾ミサイル、巡行ミサイルによる攻撃、航空機による空爆が行われます。国民は、警報の発令から始まり、安全な場所への避難、火災対応、救護活動が必要になります。

イメージは、太平洋戦争時のB17爆撃機、B29爆撃機による本土爆撃に対応していた日本国民の行動です。

厳しい戦争に耐えるには、強い独立と平和を望む国民の意思が必要となります。住民の意思が崩れては、国内の戦闘は長く続けることはできません。

そして、国土戦の強みは、日本国内にある資源を最大限に活用することができることです。

侵略国・侵略者は、海を越えて日本まで戦争に必要な物資と兵隊を供給し続けなければならない、補給上の大きな弱点があります。
戦いが長引けば長引く程、国内奥深く攻め込むほど、大量な物資とそれを守る軍隊が必要となります。

侵略した後の物資供給のイメージは、侵略国が迅速にアマゾンとクロネコヤマトのような物資供給システムを作るイメージです。

国内に日本を守る抵抗組織が残れば、大量の物資を供給する輸送の安全を確保するための大量の後方警戒部隊が必要となります。

国土防衛は、国内の物資、民間企業の力、国民全員の支援を得ることが強みです。周りの国民全て味方の戦いです。

自衛隊、国、民間、国民が協力し、全力で国土を防衛する行動が日本の勝ち目となります。

スイスの「民間防衛」は、国土防衛に必要な内容を記載したものです。

 

 

国民一人一人に配布される民間防衛書

 

「民間防衛」で有名な国は、スイスです。永世中立国スイスは、侵略を受けた場合、軍のみではなく、国家・国民全力で対応する民間防衛によって独立と平和を守る国です。

戦争時の女性の救護任務から戦闘支援任務が記述され、核攻撃が行われた時の対応、レジスタンス活動まで記述されています。

スイスは、最悪の事態に対応できる努力を継続することによって平和と独立を得ることができると認識しています。
スイスの民間防衛は、「軍を支援する民間の組織」と「国民が協力して安全を確保するための民間防災組織」を作り上げ、スイス軍の継戦能力を維持し、国民の安全と生き残れる体制をとります。

 

 

民間防衛ーあらゆる危険から身をまもる
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「スイスの民間防衛」

 

スイスの民間防衛は、町会・自治会、消防局・消防団、自治体、自衛隊の後方支援活動を行う統合した組織が地域ごとにあります。

民間防衛のイメージは、自衛隊が災害派遣を実施する内容、電力会社・ガス会社・水道局のライフライン回復作業、工事・建物の営繕による応急処置を各地域毎で行うイメージです。

ダムを破壊された場合の警報の出し方・避難要領、核爆発による生き残る行動、核爆発による熱線・圧力波防護・放射線防護要領、生物兵器が使用された場合の消毒・予防注射など具体的な対処要領が記載されています。

戦争が近づいた時に流される新聞記事を含めたメディアの情報、侵略国の行う宣伝工作への対処、国家を転覆させる敵性勢力による革命の防止、最終章では、侵略軍の占領政策へ耐える要領、レジスタンス(抵抗運動)について記述されています。

特に、核爆発1時間後の線量によって核シェルター避難所を出て1時間の外出、8時間の外出、24時間の外出ができる時間を線量毎に要図を用いて示しているのに驚きます。

 

 

今そこにある危機

 

アメリカと戦争が始まった場合、北朝鮮の弾道弾ミサイル攻撃は、朝鮮半島を支援する在日米軍基地に指向される可能性があります。

在日米軍基地周辺は、ミサイル攻撃の影響を受けるため、防護措置を含めた民間防衛が必要となります。
NBC兵器の使用の可能性があるならば、日本全国で民間防衛の「原爆による隣国の脅迫への対処」、「放射能に対する防護」、「生物兵器」、「化学兵器」知識と基礎的な訓練によって安全を確保できます。

オリンピック時のテロ活動対処にも、民間防衛は機能します。

過去の戦争イメージから、現実な視点を持ち、民間防衛を日本へ根付かせる時期が来ています。

 

 

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