人間の精神を安定させるために機能する『正常性のバイアス』があります。『正常性のバイアス』は、都合の悪い情報が多く飛び込んできた時に心の安定を保つために働きます。
例えば、一般企業では、働き方改革やDXの導入が始まり、新型コロナウィルスによってその進展が加速している状態です。周りの人たちも環境が変わっていくという話をよく耳にするようになります。
「うちの会社は、今までいろいろなことが言われてきたが、何も変化していないから今回も大丈夫であろう」、「たとえ起こっても、自分には関係なく、いつものように同じことで対応できるだろう」というように、その発生確率が高まっても、「今まで大丈夫だったから、今回も大丈夫だろう」と捉え、心の平静を保とうとします。
災害についても、同じように「この地域は今まで大きな地震が来ていないからこれからも起きないであろう」、「地震があったとしても、自分がまきこまれることはないだろう」、「避難指示が出ているがこの土地は強いから大丈夫だろう」というように、自分は大丈夫という意識が働き、地震発生時の家族の具体的な対応を考えることをしなかったり、避難すべき時に避難をしなかったために、動けなくなってしまう状況に陥ります。
では、どのようにすれば、『正常性のバイアス』を回避することができるのでしょうか。
『正常性のバイアス』を避け、後悔しない選択をするためには、より正確な判断力を身に付ければいいと考えがちですが、アプローチの仕方はその逆となります。
自分の判断力のなさ、選択する力のなさを認めることが正常性バイアスを避ける出発点になるからです。自分には判断力があると信じているため、返って、自分の能力について過大に見積もってしまう状態になりやすくなります。
そして、大丈夫だと自分が判断したのだから、これは正しい判断であると余計思い込んでしまう状態に陥ります。
だからこそ、自分の意志力のなさ、選択力のなさを認める「素直で謙虚な心」が大切になります。
例えば、住んでいる地域に「避難勧告」が発令され、「避難するか」、「しないか」の選択をするとします。2択は自動的に視野を狭めてしまい、正常性バイアス等を働きやすくしてしまいます。
この『正常性のバイアス』から逃れるためには、「避難しないとどのようなリスクがあるのか」、「避難する場合、どこに行けばいいのか」、「避難するための手段はいくつあるのか」、「避難する前に想定しておくべきことは何か」など選択の幅を広げて考えることにより、幅が広がり妥当な判断ができるようになります。
【次のブログも参考にお楽しみ下さい】
鳥取県の海岸にある「拉致防止」看板に北朝鮮との現実を見る
専守防衛の日本に適している「民間防衛」を根付かせる北朝鮮の弾道弾ミサイル
数々の安全施策を擦り抜けて発生する事故
水を得て、10日間の食糧の確保は難しくない、都会のサバイバル
急な土砂災害、2階以上で寝るか、2階へ移動する判断が生死を分ける
警察・レスキュー・自衛隊の一番役に立つ防災マニュアル (DIA Collection)