陸上自衛隊の普通科職種(歩兵職種)の幹部や東部方面隊普通科連隊は、多くの隊員が富士の樹海での訓練を体験します。
富士の樹海は、コンパスが狂ってしまったり、真っ直ぐに歩けないので迷子になってしまうという話をよく耳にします。
幹部初級課程で初めて樹海を歩いた時の感想は、溶岩にコケが定着していたり、落ち葉が堆積していて綺麗な箱庭という印象を持ちました。
樹海内には、遊歩道のような道もあり、豊かな自然を感じます。
溶岩の跡があり林の中に入ると、真っ直ぐに経路を維持することが難しいと感じるところはありますが、コンパス(磁石)が狂うこともなく、地図とコンパスを使用して樹海内の決められたポイント(部隊が訓練用に設定した目印)を確認して歩くコンパス行進は、どちらかというと、楽しい訓練といえます。
しかし、枝ぶりのよさそうな気があるところには、道路からスズランテープ(BPテープ)が引っ張られていて、数カ所スズランテープが各色確認できるほど多い場所があります。
「これは何のための印ですか」と教官に確認すると、「自殺した人を道路から中へ警察の人を誘導するものだ」と返ってきました。
その言葉を聞いた瞬間から、スズランテープの多いところで、出くわすことがあるのではないかという意識が強くなります。
不思議に感じたことは、スズランテープは、樹海の奥深くまで続いていることはあまりないことです。
「もしかしたら、見つけてほしいので奥までは入らないのではないか」「樹海内は歩きにくいから割合近くで、奥深くには入らないのではないか」「歩きやすい接近経路は必ず使用するだろう」など、色々考えてしまいます。