新規事業を始める際に最も必要となる才能は、明らかに『チャレンジをする社員』です。
しかし、事業が順調に滑り出し始め拡大し、安定させるには、『ルーチンワークを行う社員』が活躍します。
誰でも同じ成果を出せる状態を作ることが必要になるからです。さらに拡大し安定していくと、組織内では居心地の良さが求められるようになっていきます。
新規事業を開始した時は、創造性が要求されますが、ある程度の時期が来ると創造性のニーズは急激に下がり、言われた仕事を確実に行う再現性が必要とされるようになります。
企業が『改革・改善を進める社員』を必要としていても、なかなか『改革・改善を進める社員』が育たないと感じるのは、新規事業の開拓~事業の拡大~事業の安定の流れがあるからです。
事業が安定化するにしたがって、創造性を必要とする割合が必ず低下し「言われたことを確実に行う人間」、すなわち、『ルーチンワークを行い安定化させる社員』に対するニーズが高くなってしまう特性があるからです。
また、個人の単位では、S氏と組んでいる時は、Aは『改革・改善を進める社員』としての力を発揮するが、T氏と組んでいる時は、Aは『ルーチンワークを行い安定化させる社員』の方が強くなるという特性も複雑に絡んできます。
事業が拡大するということば、拡大した分、誰がやっても同じ成果が出る『ルーチンワークを行い安定化させる社員』が活躍する状態を作り出さなければならないからです。
クリエイティブな組織と思われているグーグルにおいても、実態は、誰がやっても同じような仕事を如何に気持ちよくこなしてもらうかにあらゆる工夫が凝らされています。
ここが強さとなって、新規事業を作り続ける組織として存在し続けているわけです。会社が拡大していくためには、創造性をどうしても下げなければならない状況になるということです。
すべての社員が、創造性を発揮して、かつ儲ける組織というのは、規模の小さい組織ではあり得るますが、規模が大きくなるとそうはいかなくなります。
実際に事務職が3割、管理部門を入れると半分は、『ルーチンワークを行い安定化させる社員』を求められる業務になります。
残り半分を占める営業も、新規事業で戦い抜くだけではなく、再現性ある営業を行っている部分がかなりあることから、会社(組織)の中で『ルーチンワークを行い安定化させる社員』がかなり多いということがわかります。
実態としては、『社員の創造性を発揮させる環境を作るとともに、再現性の業務を行う大多数の社員が生き生き、生産的高く働ける環境をいかに作るか』という視点が見えてきます。
『新規事業を作り出す人物に気持ちよく働いてもらう仕組みと環境を与えること』、『再現性の業務を改善するための取り組みを評価すること』、『再現性の高い業務を楽しくする組織風土があること』の3つを満たしながら、チャレンジをする必要があるといえます。
社員一人ひとりを見ることが好きなタイプでなければ、多くの社員が再現可能な業務を行っている状態で、その業務の改善や働きがいを改善するすることはできません。
リーダーとなる幹部は、事業には興味あるが人には興味がないタイプが数多くいます。特に技術系の人間は、その傾向は強く出ます。
これでは、「社員の創造性を発揮させる環境を作ること」、「再現性の業務を行う大多数の社員が生き生き、生産的高く働ける環境を作ること」は、実現できないでしょう。
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