チャンスを運ぶ女神は強い意志と積極的な行動をとる人と組織を選ぶ

チャンスを運ぶ女神は強い意志と積極的な行動をとる人と組織を選ぶ

 

 

女神がほほ笑む、チャンスという戦機

 

実戦に近い訓練を経験すると、戦いに「戦機(チャンス)」というものが本当にあることに気づきます。実戦に近い訓練を行っている最中に、その存在に触れたり、知ることができます。羽の生えた女神が戦機というチャンスを持って、敵と味方の間を自由に飛び回りながら観察しています。同じところには長く留まりません。その女神は、決断が遅かったり、行動が消極的で小さかったり、意思が弱いと微笑んでくれず、持っているチャンスを落としてくれません。

女神の微笑みは、積極的な行動や決断が好きです。強い意志や積極的な行動に出会うと女神がほほ笑みます。すると、戦機がその人・部隊へ一気に集まってきて、みるみる状況が好転していきます。

実戦的な訓練をしていけばいくほど、戦機、チャンスの存在を信じるようになります。

 

 

女神はお互いの錯誤の中で何をするか見ている

 

敵味方に分かれて実戦的な訓練をしていると両者で錯誤が必ず発生します。お互いに自分の部隊が多く損害が出ていて相手はあまり損害がないように感じてしまい両者が退却をしてしまうようなことがあります。目の前に現れた限定された情報から何を知り、如何に行動するか判断するために錯誤が必ず生じます。錯誤が生じると思ってもみない方向へ、まるで山の頂上から一気に走って下山するような勢いで状況が進んでいくことがわかります。これも戦機と大いに関係があります。

戦機を掴むか掴まないかが、戦いのターニングポイントになります。女神が近くを飛び回っている時、如何に判断をして行動をするかによって戦線が大きく変化し、一挙に勝敗が決まっていきます。戦機を掴むめばチャンスを得て戦勝獲得へ一気に近づきますが、戦機を掴むことができないと、大きなピンチをむかえ敗北に進んでしまう勝敗の分水嶺となります。

 

 

見えない戦機、チャンスの存在に気づく

 

戦機とチャンスをどう自分達に引き寄せていく重要性は誰もがわかっているのですが、戦っている両者には、不思議なことに戦機はまったく見えません。戦機を運ぶ女神がどこにいるかまったくといっていいほどわからず、存在すら気付くことができません。

戦機を運ぶ女神の存在と姿を見たのは、超実戦的な訓練を行った時でした。
お互い自由に考え行動し、敵と戦う実戦的な訓練をしている時、敵味方が何を考え、如何に行動しようとしているか把握するとともに、損害や補給状況を確実に掌握できる訓練統制部で女神の存在に気付きました。
訓練統制部という組織は、両方の状態を見て戦闘を評価と審判を行なったり、訓練の企画・運営をする部門です。両方の無線を傍受し現地の戦闘部隊の状況や作戦本部が何を考えているかが分かります。

訓練統制部は、女神が飛び回りながら、戦闘間生ずる錯誤の連続の中で、意思や行動を如何にするかを見ているのと同じ事がわかる組織です。女神が戦機、チャンスををいつ落としたのか、戦機があったのに何故掴むことができなかったのか、掴み損ねた部隊はどうなったか継続的に確認することができます。

 

 

両者が戦機を掴めない戦い

 

ある一場面をこれから紹介します。

主力から離れて防御をしていて、2日頑張れば、主力が来て優位な状態になるという防御部隊を攻撃部隊が攻撃をしている状況です。

防御側のリーダーが主力の指揮官へこのような報告をしました。「敵の攻撃は止まることなく続いており、我々の損害がどんどん出ています。敵の損害は小さくこのままでは厳しい状況になります」、指揮官は防御しているリーダーへ「あと、少しなので頑張れ、火力を増加するので戦闘に使用するように」と指示しました。

防御側は一晩中相手の攻撃を受け続け、明け方前に「このままではやられてしまいます」と報告を続けています。防御をしているリーダーは、防御線を抜かれてしまうかもしれないと感じており、主力の指揮官は、なんとか首の皮一枚で持ちこたえていると考えています。

現地に企画運営部門として確認に行くと、防御側はまだ十分戦力が残っていて、どうしてこのような危機感が出ているのかなと思っていると、攻撃部隊がいくら戦っても損害がほとんど出ておらず、更に新しい部隊が出てきて攻撃をしてくるので、相当な戦力があり、このままではやられてしまうのが時間の問題ではないかと感じているのがわかりました。

攻撃側は、どういう状態かと調べると、防御側の火力により、かなりの損害が出ていて、攻撃の手を緩めると防御側が攻撃をしてくる可能性があるので、部隊が沢山いるように動き回りながら、防御側がよく確認できない夜間を上手く使って戦っていました。「もう戦力が残り少ないので、補給部隊や修理部隊も攻撃に参加させている」、これが防御側では新たな部隊に見えていたのだとというのことがわかりました。「なんとか、昼まで攻撃してから、後方へ下がり立て直そうと考えています」ということでした。

あと一押しで防御側はどう対応するかなと思いながら企画運営の部屋へ戻り、しばらくすると、防御側は、「昼までに、現在の陣地から後方の陣地へ移動し、戦力を立て直す」と判断し、攻撃側は、「昼までに監視要員を残し、後方へ下がり立て直しを図る」という判断を行い、何と両方の部隊がどちらにもチャンスがあったのに掴み切れず、お互いに危機感を持ってしまい下がってしまう結末になりました。どちらにも勝つチャンスがあったのですが、戦機を掴めず女神はほほ笑んでくれませんでした。

状況の正しい把握と積極性が重要であることがどちらもみている者にとってはわかるのですが、自分の方ばかりがやられていて、相手はあまりやられていないと考えてしまい、なかなか積極的な動きをとるというのが難しい状態になるのが現実だというのがわかります。攻撃側は、ボロボロになっていて後方に下がりましたが、もう一押しすれば、防御側が崩れてしまうというチャンスがあり、防御側は、攻撃側に大ダメージを引き続き与えるチャンスであったといえます。

 

 

偶然が2回起こった戦機の動き

 

次の場面は、強い意志がピンチを救うという場面です。お互いが同じ戦力なのでお互いが攻撃をする場面で生起しました。Aの保有する4個の部隊のうちの1個の部隊が、どういう訳かここから来る部隊はないとBが配備しなかったところを通って、上手くすり抜けトンドンBの本部の方へ進んでいて、このままでは本部が攻撃されやられる可能性が高いということをB本部は把握しました。Bは対処しようにも、Aの部隊を攻撃するため、Bの4個の部隊も前の方に前進していて、間に合わないと判断した、B指揮官は本部近くにいる補給部隊や車両の運転手等、ありとあらゆるメンバーを集合させて、全員で防御をして部隊が戻るまで頑張る体制をとると命じました。

上手くすり抜けた部隊は、装甲車や戦車もあり、大きな戦力なので戦えば時間の問題でAが勝ちます。Bの指揮官はできることを全て準備して待ち受けをしています。現場を確認すると厳しい状況だなとすぐわかり、今回は早く勝負が決してしまうなと考えていると、Aのすり抜けた部隊が、道を間違え少し遠周りに接近をし始めました。

勝ちをとるため、急いでしまった結果でした。よく偵察しておけば全く問題がなかったことでした。

そうこうしている間に、何と、Bの1個部隊が、道を間違えていて、このまま進むとすり抜けた部隊の横に出てくる状態になっていて、今度は急きょA部隊がやられる側になってしまい、A指揮官はすり抜け部隊へ指示を出し、方向変換させました。B指揮官はこの偶然に驚き安心してしまったため、すり抜けてきたA部隊を十分叩くことができませんでした。

B指揮官の残っている全員で戦うという強い意志が壊滅する流れを変えましたが、チャンスは十分いかせませんでした。

勝利の女神は、両者へ同じ分の戦機を持って行ったりきたりしていて、強い意志のところへ微笑みますが、すぐに反対のところへ行ってしまいます。

情報は女神の存在を知ることができる重要なものであることも分かります。

 

 

 

 

 

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