オオクワガタは、南斜面のカワラ茸というキノコにより白枯れした朽木にメスは卵を産みます。オオクワガタの採集は、夏の樹液に集まるオオクワガタの採集と、冬から早春にかけて楽しめる幼虫や蛹室にいる成虫を採集する朽木採集に区分出来ます。
樹液採集は、成虫の活動地域を知ることができ、朽木採集は、繁殖地域を知ることができます。樹液採集と朽木採集の位置を繋げることにより、生息するオオクワガタの生態を掴むことができます。
生態を掴むことができれば、発生源を完全に破壊してしまったり、乱獲をしない限り、毎年採集が楽しめるポイントとなります。
地図によりオオクワガタの生息区域を分析しながら、朽木採集で攻める場所を決めます。南側の広葉樹の斜面がオオクワガタのいるクヌギの林の可能性があるので、河川の近くで密生林ではなく人の手が入っている里山を採集ポイントとして攻めます。
地図を見るのは普通科連隊の隊員として若い時から仕事で鍛えているので、等高線の表示のある地図ならば、地図を見るだけで川がどんな感じで流れていて傾斜の状態や谷の状態、植生などが3D画像のように頭の中でイメージできます。
斜面と谷の入り方から、車の停車位置と採集ポイント、採集経路を選定します。
1ポイント2時間弱の採集時間を設定するので、多くて1日5ポイントが限界となります。40キロ四方の地図から、オオクワガタのいそうな場所をプロットして一つ一つ現地を歩きながら、オオクワガタのいる場所を特定していきます。
現地の地形を地図上から読み取り、急斜面を登る位置、道の無い地形に徒歩経路を書き込んだり、谷を越える位置、オオクワガタを探すエリアを表示しながら偵察計画を作成していきます。
現地で偵察経路に基づき歩いていると、1~2日前に入った古さの足跡がありました。自分の偵察する経路と全く同じ経路で足跡が続いています。
この採集者は、地形を見る地形眼があり、無駄のない経路の選定ができています。よくぞこの経路を見つけ、採集ポイントを絞り込んでいったなと感心するレベルです。
レンジャー訓練をした隊員のレベルに近いものがあります。
この人の足跡を追いながらの採集となりました。樹液採集と違い朽木割採集は、朽木を削りながら採集を始め、クワガタの食痕(朽木を食べた跡)を追いながら朽木を削る作業を進めるので、1本の木に2時間以上はかかります。食痕が全然出なかったり、食痕があっても追いかけながら削っていったらコクワガタの幼虫であったりすると、大きなタイムロスになってしまいます。
しかし、タイムロスばかり考えて、朽木割にチャレンジしないとオオクワガタは見つけられません。
この人の足跡から、カワラ茸のある朽木を削るか削らないかを判定するために、朽木の周りを歩いて確認しているのがわかります。
ただ、カワラ茸が生えていればいいわけではありません。キノコの菌によって木がコントロールされると、木がキノコの菌によって白枯れ状態に朽ちていきます。
この白枯れした状態を朽木といい、キノコが出てくるようになります。
キノコが元気な時は、オオクワガタの幼虫はキノコの菌にまかれて死んでしまうので、キノコが衰退してきた状態の朽木にオオクワガタは産卵します。
飼育では産卵すると特有の産卵痕ができますが、自然界では木の洞の奥深くで産卵するため、なかなか見つけることはできません。
この人は注意深く自分が見て判断しようとしているところで立ち止まり、迷っているのが足跡からわかります。
試しに一回斧を打ち込んでいたりします。斧の打ち込みから、この人は、まだ朽木の判定ができていないことがわかりました。
足跡から、傾斜を登ったりして疲れてくると採集が雑になってきていることから、多くの朽木を見落とす可能性が高いことがわかります。
久し振りに細いけもの道に出て、歩きやすくなったなと考えながら、草木で見通しのきかない四差路に出た瞬間、左から歩いてきた雉と1.5メートルの距離でばったり遭遇して、「オウ」と思わず声を出してしまいました。
雉を見ると雉も驚いてビクッとして少し羽を開いたのがわかりました。目がワイドアングル(ボーと全体を把握する見方)になっていて、採集の意識がなくなっていたので、雉が気配をとれなかったのかもしれません。
雉と正面でばったり出くわすことは珍しく、なんだか今日はいいことがあるかなと感じました。
【kindle本が発刊されました】
天然オオクワガタを求めて-山梨県韮崎一帯オオクワガタ採集記-
かつてのオオクワガタ有名産地、山梨県韮崎一帯で天然のオオクワガタを求めた採集記が完成しました。本書は、「1年を通じた採集記」、「採集幼虫のその後」、そして、「20年前同じ場所で体験した採集記録(加筆)」の3部で構成されています。
≪次のブログも参考にしてお楽しみ下さい≫
クワガタ、カブトムシ採集・飼育を親子で楽しむ -産卵場所と飼育用マットの違い-
クワガタ・カブトムシ採集・飼育を親子で楽しむ -長生きさせるコツ-
クワガタ、カブトムシ採集・飼育を親子で楽しむ -種類によって寿命が違う、越冬の仕方-
クワガタ、カブトムシ採集を親子で楽しむ-クワガタ・カブトムシの発生時期を知る-
熊本での一晩300匹以上のカブトムシ採集
オオクワガタ灯下採集の変化 -マイマイガの大量発生とLED化-
オオクワガタから学ぶ自然を味方にする方法
巨大犬との戦いは -オオクワガタ採集体験記-
【kindle本がでました】
オオクワガタに出会い、採集やブリーディングを始めて、いつの間にか20数年が経ってしまいました。
日本各地のオオクワガタの有名ポイントで多くの仲間と出会い、採集をした楽しい思い出やズッコケ採集記は私の宝物です。
オオクワガタを通じ、色々な経験や学びがあり、人生が豊かになった感じがします。そんなオオクワガタ採集記をお楽しみ下さい。
オオクワガタ採集記: 朽木割り採集・灯下採集・樹液採集の世界
マット飼育は、菌糸ビンのように簡単に大型を作出するのは難しい飼育法ですが、綺麗な個体を得ることができ、安価で多量にオオクワガタを飼育できることが魅力です。
本書により、マット飼育のコツを積み上げ、皆さんの目指すオオクワガタを作出して頂ければ幸いです。
オオクワガタ飼育記 ~マット飼育による美形・大型作出テクニック~
【kindle本が出ました】
本書は、実戦で強烈な威力を発揮する「スカウト」の戦闘技術に触れた瞬間、根底から意識が変わってしまった隊員たちが、戦場から生き残って帰還するために、寸暇を惜しんで戦闘技術の向上へのめり込む姿を記録したものです。
そして願わくば、ミリタリー関係者だけでなく、日々、現実社会という厳しい戦いの場に生きるビジネスパーソンやこれから社会へ出て行く若い人たちに、読んでいただきたいと思っています。スカウトという生き残り術を身につけることは、必ず日々の生活に役立つと私は信じています。
40連隊の見えない戦士達: 自然をまとう「スカウト」戦闘技術
Pingback: オオクワガタ山梨県トラッキング採集 -甲府一帯現地採集編- | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: オオクワガタ山梨県トラッキング採集 -甲府一帯採集準備編- | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: オオクワガタトラッキング採集 -栃木県奥日光川俣温泉・栗山地域- | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: 山梨県甲府一帯オオクワガタ採集裏バージョン -水を食べる食感『水信玄餅』- | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: 佐賀県神崎郡オオクワガタトラッキング採集 -伐採材捨て場でタコ採れ- | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: オオクワガタトラッキング採集-奥鬼怒採集ポイントの開拓に挑戦- | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: クワガタ、カブトムシ採集・飼育を親子で楽しむ -産卵場所と飼育用マットの違い- | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: クワガタ、カブトムシ採集を親子で楽しむ-クワガタ・カブトムシの発生時期を知る- | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: 2014年9月人気記事ランキング | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: オオクワガタトラッキング採集 ー 福岡県久留米編 ー | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: 親子で楽しむクワガタ・カブトムシ採集と飼育 -家族でクワガタ採集旅行- | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: オオクワガタマット飼育 -3令幼虫のマット飼育編- | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: オオクワガタデータ飼育 -飼育に与える温度の影響と温度管理- | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: 2014年10月人気記事ランキング | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: 2014年8月人気記事ランキング | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: 2014年7月人気記事ランキング | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: 間もなくkindle本発刊します『天然オオクワガタを求めて-山梨県韮崎一帯採集記-』 | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: kindle本発刊しました『天然オオクワガタを求めて-山梨県韮崎一帯採集記-』 | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: クワガタ、カブトムシ採集を親子で楽しむ-採集時間を知る- | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: クワガタ・カブトムシ採集・飼育を親子で楽しむ -長生きさせるコツ- | 戦闘組織に学ぶ人材育成
Pingback: クワガタ、カブトムシ採集・飼育を親子で楽しむ -種類によって寿命が違う、越冬の仕方- | 戦闘組織に学ぶ人材育成